米下院議員ナンシー・ペロシが1月に新規取得したTempus AI(NASDAQ: TEM)のコールオプションを巡り、同社の取締役や幹部7名が3月17日~18日に総額4,339,581ドル相当の株式を売却した。売却が集中したのは、株価が2月中旬に過去最高値を記録した後、46%下落したタイミングと重なる。
一部の取引は事前に計画されたものであるものの、2月にも2600万ドル相当の売却があったことから、市場では弱気姿勢の表れと受け止める見方もある。ペロシのオプション満期は2026年1月だが、目先の値動きには慎重な注視が求められる情勢である。
Tempus AI株に対するインサイダー売却 短期間で約4,300,000ドル超の放出が集中

3月19日に米証券取引委員会(SEC)が公開したForm 4によれば、Tempus AIの7人の経営陣が3月17日と18日の2日間で計4,339,581ドル相当の株式を売却した。内訳としては、最高財務責任者James William Rogersが23,030株、1,058,699ドル、取締役Scott Gottliebが27,838株、1,359,989ドルを手放すなど、単発ではなく広範な動きであった点が特筆される。今回の売却は2月20日の約2,600万ドル規模の売却と合わせ、わずか1か月余りの間に複数のインサイダーが立て続けに保有株を処分している状況となっている。
一部の取引は事前計画に基づくものであり、法的・倫理的に問題はないとされる。しかし、こうした短期間での集中的な売却は、株価の現状や今後に対する警戒感の表れと映る。特にペロシ議員が新たにポジションを構築した直後にインサイダーが動いたというタイミングは、投資家の市場心理に微妙な影響を及ぼすことは避けられない。加えて、今回の売却が過去最高値からの下落局面と重なっている点も、単なる利益確定以上の意味合いを含む可能性がある。
株価急騰から一転下落へ ペロシ保有オプションの価格と乖離する現状
Tempus AIの株価は、ナンシー・ペロシがコールオプションを取得した直後に一時89.44ドルまで急騰し、過去最高値を記録した。しかしその後、テクノロジー関連銘柄全体を巻き込んだ調整局面や、米中貿易摩擦による影響を受けて反落。記事執筆時点では48.03ドルにまで値を下げ、最高値からの下落率は46.30%に達している。一方で、年初来ではなお42.27%の上昇率を維持しており、短期的な成長は評価できる水準にある。
だが、注目すべきはペロシが保有するオプションの権利行使価格が50ドル、満期が2026年1月16日であるという点である。現在の株価水準はこの行使価格をわずかに下回っており、この水準を割り込んだ状態が長期化する場合、収益化は困難となる。加えて、ARK Investのキャシー・ウッドが押し目買いを進めていることからも、長期的な期待は根強いが、インサイダーの一斉売却という事実が短期的な投資判断においては警戒感を強める材料となっている。株価のモメンタムが再び回復するかどうかは、今後の需給動向と市場センチメント次第といえる。
Source:Finbold