ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが保有するシェブロン株からの年間配当収入は、総額で約8億1,140万ドルに達する。保有株数は1億1,861万株を超え、同社ポートフォリオでは5番目の規模となっている。
38年連続で配当増加を続けるシェブロンは、S&P500平均を大きく上回る利回り4.4%を誇る「配当アリストクラット」。1日あたりでは約222万ドルの配当がバークシャーに流れ込む構図だ。一般投資家にとっても、約1万ドルの投資で年間444ドル超の配当を得られる計算となり、堅実な収益源としての魅力が浮き彫りとなる。
バフェットが注目したタイミング コロナ禍の逆風下で進んだシェブロン買い増し

バークシャー・ハサウェイがシェブロン株式を買い進めたのは、2020年後半という異例の局面であった。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に石油需要が急落し、エネルギー業界全体が深刻な逆風に見舞われていた時期である。この極端な環境下で、シェブロンのような大手企業も株価が大幅に下落しており、バークシャーはこの混乱を割安な買い場と捉えて投資判断を下した。
パンデミックによる供給制限や移動制限の影響は、一時的に市場からエネルギー株を敬遠させたが、バークシャーはシェブロンの財務基盤と経営の持続力に信頼を置いたと考えられる。実際、同社は38年連続で配当を増やしており、危機的状況でも株主還元を継続する姿勢が明確であった。また、石油・天然ガス分野にとどまらず、水素技術やカーボンキャプチャーといった代替エネルギー領域への取り組みも、将来的な成長余地を示唆している。
短期的な不安定要因が支配する中で、長期的視点での投資を貫いた点に、バークシャーの一貫性が浮かび上がる。経済が混乱する局面こそ、優良資産が過小評価される場面であり、そこに果敢に踏み込む姿勢は他の投資家への示唆ともなり得る。
一般投資家にとっての試金石 1万ドル投資がもたらす収益と学び
シェブロンのような高配当株に対する関心は、インフレ環境や金利動向が読みにくい現代においてますます高まっている。仮に1万ドルを現在のシェブロン株(約154ドル)に投じた場合、購入できる株数は約65株であり、年間の配当収入は約444.60ドルに相当する。この水準のリターンは、利回りベースで4.4%前後とされ、預金や国債を大きく上回る。
加えて、再投資戦略を組み合わせれば、複利効果によって中長期的に資産は加速度的に増加していく。こうした銘柄は、価格変動の激しいグロース株とは異なり、安定した現金収入をもたらす資産形成の基盤となる。特に定期的なキャッシュフローが重要な個人投資家にとっては、シェブロンのような配当アリストクラットの存在は無視できない。
もっとも、1万ドルという金額は象徴的に語られているにすぎず、実際には継続的な積立やリバランスによるポートフォリオ管理が不可欠である。配当水準や株価が将来も同じ軌道を描く保証はなく、常に全体の資産配分を意識した運用姿勢が求められる。それでも、実績ある企業への堅実な投資が、資産防衛と成長を両立させ得る道であることを、シェブロンの事例は強く物語っている。
Source:24/7 Wall St.