ビットコイン先物を取り扱うCMEの建玉が過去最大規模の100億ドル減少を記録し、市場は短期的な統合フェーズに突入しつつあると分析されている。機関投資家のポジション解消が相次ぐ一方で、1,000BTC超を保有する新規アドレスが大量に買い集めており、クジラ層の再編が進行中である。
価格は85,000ドル台に回復しており、売り圧力の緩和とともに今後のレジスタンス突破に向けた動きが注目される局面にある。
CME建玉100億ドル減少が意味する市場の変調

CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)におけるビットコイン建玉が、過去3か月で約100億ドル分減少した。この数値は歴史的にも異例であり、Alphractalの分析によれば、ビットコイン市場における建玉の落ち込みとしては最大級の規模である。これは明らかに機関投資家のポジション縮小を示しており、彼らの間で短期的なリスク回避の姿勢が強まったと見られる。
建玉の急減は一般的に、市場参加者が取引から一時的に手を引くことを意味するが、同時に市場が過熱状態から冷却期へ移行している兆候とも解釈される。ビットコイン価格が再び85,000ドル台に戻ったタイミングと一致しており、価格と投資行動の乖離が今後の動向を左右する材料となる。
一方、30日間の建玉デルタが下降傾向を脱し、7日間の指標がプラスに転じたことから、一部の市場参加者の間では再び取引意欲が戻り始めている可能性がある。ただし、依然として90日間の傾向は弱気を示しており、短期の反発が中長期の上昇トレンドへ繋がるかは見通せない。
市場は現在、過度な楽観と過度な警戒がせめぎ合う過渡期にあり、ボラティリティの裏に潜む構造的変化が注視される。
新たなクジラの台頭がもたらす中長期的視座
CMEの建玉減少による投資家心理の冷却が注目される中で、1,000BTC超を保有するウォレットアドレスの増加という別の現象が市場で進行している。マーケットアナリストのOnchainedは、これら新たな大口保有者が2024年11月以降に100万BTCを取得しており、今月だけで20万BTCを買い増したと報告した。価格が変動する中でも彼らは積極的な取得姿勢を崩しておらず、長期視点に基づく投資戦略が明確に読み取れる。
これまでの市場では、クジラの行動が価格に直結することが多かったが、今回の新興クジラは価格変動に動じず、地合いが落ち着く局面でむしろ買い増しを強めている点が特異である。建玉の減少が投資家の撤退を示す一方で、これら新規大口の台頭は、次の価格上昇局面に向けた布石とみることもできる。
従来の強気相場では、取引量の拡大が先行する形で価格が動いていた。しかし今回のように、静かに蓄積を進める新興勢力が存在することで、上昇トレンドの形成には一層の時間を要する可能性もある。表面上の価格変動の裏で進行する構造的な保有バランスの変化は、次のサイクルにおける相場の力学を大きく左右するだろう。
Source:Bitcoinist