サムスンが2024年製のサウンドバー向けに配信したファームウェア「バージョン1020.7」によって、HW-Q990Dをはじめとする複数モデルが動作不能に陥る不具合が発生した。原因はネットワーク経由(OTN)のアップデートで、操作不能状態やeARCモードへの固定などが報告されている。

RedditやAVS Forumでは不具合が広く共有され、USB経由でのアップデート利用者には影響がないという。サムスンは本件に対し公式に謝罪し、保証の有無を問わず無償修理で対応すると発表した。復旧方法の詳細は明かされておらず、今後の追加対応が注目される。

ネット経由のファームウェア更新が招いたQ990Dの深刻な障害

2024年3月に配信されたサムスンのファームウェア「バージョン1020.7」は、HW-Q990Dを含む複数のサウンドバーモデルを操作不能にする致命的な不具合を引き起こした。特にネットワーク経由(OTN)でアップデートを行ったユーザーの間で、eARCモードに固定される症状や、まったく反応しなくなるケースが多数報告されている。一方で、USB経由で更新を行った個体には問題が発生していないとされており、アップデート経路による影響の差異が明らかになっている。

この問題はRedditのr/soundbars、AVS Forum、サムスン公式フォーラムといった複数のコミュニティで議論され、海外メディアThe Vergeが最初に報じたことで広く認知された。サムスンは事態を把握したうえで、現在OTN経由のアップデートを停止しており、影響を受けたすべての機器に対して保証の有無を問わず無償修理を実施すると発表している。ただし、故障状態の復旧方法や新ファームウェアの再配信時期などの具体的対応策については、現時点で明確にされていない。

ユーザーからすれば、信頼していたアップデートが原因で製品が使用不能になる事態は受け入れがたく、メーカー側の品質管理や検証体制に疑念が残る。今後のアップデートに対する警戒感は、今回の件を機に一層高まる可能性がある。

なぜUSB経由は無事だったのか アップデート方式に潜む落とし穴

今回のファームウェア問題では、ネット経由でのアップデートのみが不具合の引き金となり、USB経由で更新を行ったユーザーには障害が発生していないという。これは、OTNアップデートに内在する配信プロセスの不具合、あるいはダウンロード中の破損や通信障害などが原因となった可能性を示唆している。USBアップデートはユーザーが手動で操作する工程が多く、ある意味でコントロールされた更新手段であるのに対し、OTNは自動でファームウェアが配信・適用されるため、問題が発覚するまでのタイムラグも大きい。

また、OTN更新では不具合の事前検出が難しいという特性もある。機器側が通常動作している限りではアップデートを受け入れてしまうため、開発段階で意図しない挙動を誘発するコードが含まれていた場合、瞬時に大量のデバイスに影響が及ぶことになる。これはIoT機器が増える現代において、非常にリスクの高い問題といえる。

アップデートの利便性と安全性は常にトレードオフの関係にあるが、今回の一件でファームウェアの配信方法に対する信頼が揺らいだのは事実だ。自動更新の便利さに慣れた今だからこそ、ユーザー自身がアップデート方法を選択できる設計が、これからの製品設計に求められるかもしれない。

Source:Digital Trends