株式市場が不安定さを増す2025年上半期、ダウやS&P500が軟調に推移するなかで、配当と株価上昇の両面で注目を集める銘柄が現れている。Barchartの独自スクリーニングにより、YTD変化率1%以上、配当利回り2.75%以上など厳格な基準を満たした79銘柄の中から、パフォーマンス上位3社が選出された。

選ばれたのは、医療・保険サービスを統合するCVS Health(52.91%上昇)、加熱式たばこに注力するPhilip Morris International(26.69%上昇)、そして世界最大級の化学メーカーBASF SE(25.57%上昇)。いずれも大型株で安定的なキャッシュフローを背景に、高い配当利回りを維持している点が共通している。

市場の混迷が続くなかで、こうした銘柄はインカムと防衛的な資産価値の両立を狙う投資家にとって、選択肢の一つとなりうる。慎重な銘柄選定と中長期の視点が求められる局面であることに変わりはない。

市場低迷を逆手に取るCVSの反発力と配当継続の強さ

CVS Healthは2024年後半に一時的な株価下落を経験しながらも、2025年には52.91%の上昇という異例の回復を遂げた。背景には、小売薬局としての広範な店舗網に加え、AetnaやCaremarkといった保険・PBM(薬局給付管理)部門の統合が生む一体型ビジネスモデルの強さがある。CVSは9,000超の店舗展開に加え、予防医療から保険、処方薬管理までを包括する構造により、収益源の分散と安定したキャッシュフローを実現している。

配当利回りは3.87%と高水準を維持しており、年間配当金は2.66ドル。競合であるWalgreensが配当停止に踏み切るなか、CVSは業績を背景に配当の継続を明言しており、市場の不安定性に対する防衛的資産としても注目度が高い。23名のアナリストの大多数が「強い買い」を付けており、目標株価81ドルという予測が株価上昇余地の存在を裏づける。

この反発は単なる市場の流れではなく、医療インフラとしての不可欠性と、統合型戦略が生む堅実な事業運営が評価された結果といえる。今後も医療コストの高騰と高齢化が進むなかで、CVSの総合力は一段と重視されるだろう。

Philip MorrisとBASFに見る高配当銘柄の持つ構造的強み

Philip Morris Internationalは、たばこ産業という構造的逆風にもかかわらず、加熱式たばこ「IQOS」などの無煙製品に注力する戦略で、2025年に年初来26.69%の株価上昇を記録した。5.40ドルの年間配当金に基づく配当利回りは3.54%と高水準を維持し、アナリストからは「中程度の買い」と評価されている。目標株価は175ドルとされ、さらなる上昇の余地がある点も無視できない。

一方、BASF SE ADRは世界最大級の化学メーカーとして、農業・自動車・建設といった幅広い分野に素材を供給している。2025年には株価が25.57%上昇し、配当利回りは4.72%と非常に高い水準にある。ただし、年1回の配当(4~5月)という特徴を持つため、受取タイミングを意識した投資判断が求められる。また、目標株価13.60ドルを既に達成しており、直近のアナリスト評価は若干後退している。

両社に共通するのは、景気の波に左右されにくい分野で安定した収益基盤を築いている点である。特にPhilip Morrisのような「罪悪株」は一定のニーズが続くうえ、事業転換の意思表示も市場に好感されている。高配当を支える構造そのものに投資妙味があることを、これらの動きは明確に示している。

Source:Barchart