Snow Lake Resources(LITM)の株価が、ドナルド・トランプ前米大統領の発表した重要鉱物関連の大統領令を受けて、取引量急増とともに一時10%上昇を記録した。
この政令により、ウランが国家安全保障上の重要鉱物に追加され、同社のPine Ridgeプロジェクトが恩恵を受ける可能性が浮上。さらに連邦資金へのアクセス拡大も視野に入る。
一方で、LITMは依然として年初来高値から50%超の下落中で、無収益・低時価総額のリスク要因も抱える。急騰は一過性か、それとも潮目の変化か、注視が必要である。
トランプ大統領令がもたらしたLITMへの直接的恩恵と市場反応

2025年3月に発表されたトランプ前大統領の大統領令は、米国内における鉱物資源の採掘と供給体制の強化を目的とするもので、ウランを「重要鉱物」として国家安全保障上の対象に加えた点が注目される。Snow Lake Resourcesが保有するワイオミング州のPine Ridgeウランプロジェクトは、この政策変更によって承認手続きの迅速化や連邦資金へのアクセス拡大という実利を享受する可能性がある。
同社のフランク・ウィートリーCEOもこの点に触れ、「米国のウラン生産量が世界全体の0.02%に過ぎない現状に対する地殻変動」との見解を示している。
加えて、同社は3月初旬に1,000万ドル規模の自社株買い戻しプログラムを打ち出しており、これは経営陣による事業見通しへの強い信頼を示唆するものといえる。実際、政策発表当日のLITM株の出来高は、平均1,900万株に対して1億株超と急増し、最大で10%の株価上昇を記録した。とはいえ、株価は年初来高値から依然として50%以上下落しており、依然として投資家の警戒感が残る水準にある。市場の反応が一時的な買い戻しに過ぎないのか、あるいは構造的転換の兆しと見るかは、今後の資金動向と規制の具体化次第といえる。
成熟なき高騰のリスク Snow Lakeはなぜ“投機株”とされるのか
Snow Lake Resourcesは、鉱物資源の探査と開発に特化するカナダ企業であるが、現時点では商業的な売上を一切計上していない無収益企業である。この点がLITMを投資対象として見る上での最大のリスク要因であり、同時にBarchartの分析対象外となっている理由の一端とも考えられる。企業の本質的価値を裏付ける収益構造が存在しない限り、株価の急騰は外部要因に過度に依存し、不安定さが増す。
また、LITMは低価格帯で取引されるいわゆる「ペニー株」に分類され、時価総額は約3,500万ドルと極めて小規模である。このような銘柄は価格変動が極端になりやすく、大量の出来高による急騰の後に急落するリスクが常につきまとう。
政策という一過性の材料に株価が反応した事実は、投資家にとって注意喚起ともなりうる。Snow Lakeが将来的に実際のウラン供給者として事業を展開できるかどうかは未知数であり、今回の値動きが持続的成長のシグナルと見るには尚早との判断も成り立つ。
Source:Barchart.com