サムスンが新たに投入したGalaxy A56は、7.4mmという2016年以降で最薄の筐体に、ピーク輝度1900ニトの6.7インチAMOLEDや45W急速充電、IP67防塵防水を備えた完成度の高いミッドレンジ機である。

搭載されたExynos 1580はSnapdragon 8+ Gen 1に迫る性能を見せるが、重めのゲームでは処理落ちも確認されるなど、用途次第で評価が分かれそうだ。一方で、AI補助機能「Awesome Intelligence」やOIS付き50MPカメラ、6年間の長期アップデート保証など、日常使用では十分すぎる仕様となっている。

価格は約9万円と決して安くはないが、旧型フラッグシップを視野に入れる層にとっても比較対象となり得る存在であり、薄型デザインやサムスン独自機能に魅力を感じるなら有力な選択肢となりそうだ。

最薄ボディとIP67対応が両立 Galaxy A56の設計思想に見る進化

Galaxy A56は、厚さわずか7.4mmというGalaxy Aシリーズ史上最薄のボディを実現しつつ、IP67等級の防塵防水性能も兼ね備えている。2016年以降で最も薄い筐体ながら、5,000mAhの大容量バッテリーも確保しており、設計面での工夫が随所に見られる。背面と側面にフラットなラインを採用した新デザイン「One Mass」は、装飾を排しつつも金属素材による質感と存在感を確保している点が特徴だ。

カラー展開は「Awesome Graphite」を筆頭に、Olive、Pink、Lightgreyの全4色が揃うが、いずれも落ち着いたトーンで構成されており、派手さよりも実用性を意識した配色といえる。背面カメラはメタル調のピル型モジュールが採用されており、全体的に上位機種と並べても遜色ない印象を与える。

薄型筐体ながら充電端子やスピーカー配置にも無理がなく、持ちやすさと機能性を両立している点は、日常使いを重視するユーザーにとって確かな価値がある。防水・防塵といった信頼性を犠牲にせず、ここまでの薄さを追求した製品は限られており、物理的な完成度という点ではAシリーズの中でも特に完成度の高い一台といえるだろう。

性能と価格のバランスに注目 Exynos 1580の立ち位置と評価

Galaxy A56に搭載されたExynos 1580は、サムスンが自社開発する4nmプロセスのチップであり、ベンチマークスコアはSnapdragon 8+ Gen 1やGoogle Tensor G3に迫る数値を記録している。RAMはLPDDR5の8GBで、仮想メモリを最大+8GBまで拡張できる点も注目される。これによりアプリの多重起動やブラウジングといった日常的な動作は非常に快適にこなせる構成となっている。

一方で、Zenless Zone Zeroのようなグラフィック負荷の高いゲームではフレーム落ちが見られ、ピーク性能の持続性には課題が残る。冷却機構として15%大型化されたベイパーチャンバーを搭載しているが、ハイエンド用途に最適とは言い難い。とはいえ、約9万円という価格帯を考慮すれば、競合するミッドレンジ機との比較においては十分な実力といえるだろう。

また、A56には45Wの急速充電と5,000mAhバッテリーが組み合わされており、ゲームや動画視聴を含めた使用でも1日をしっかり乗り切れる電力設計となっている。旧型フラッグシップと悩むユーザーも多いかもしれないが、最新ソフトウェアとの相性や長期サポートを重視するのであれば、A56の方が長く快適に使える選択肢となり得る。

Source:Tech Advisor