RippleのCEOブラッド・ガーリングハウス氏が、米国証券取引委員会(SEC)に保留中の11件のXRP関連ETF申請に言及し、承認に強い自信を示した。2024年3月19日のBloombergインタビューでは、米政府の戦略的暗号資産備蓄構想においてXRPが名指しで言及された事実や、規制当局との関係改善が進んでいる現状が背景として語られた。
かつてSECとの長期的な対立関係にあったRippleは、最近の控訴取り下げにより法的障壁を一部解消しており、市場のETF期待を押し上げている。業界ではETF承認が機関投資家資金の流入を促し、XRP価格にも影響を与える可能性があるとの分析が広がっている。
Ripple側は、これらの投資商品が2024年後半にも始動する可能性があると見ており、米国暗号資産市場におけるXRPの地位確立に向けた動きが加速している。
XRPのETF化に向けた法的環境の変化とRippleの立場の変容

Rippleと米証券取引委員会(SEC)との長期にわたる法的対立は、近年ようやく転機を迎えている。過去にXRPは証券に該当するか否かをめぐる訴訟で大きな足止めを食らっていたが、SECによるRippleへの控訴取り下げは、制度上の障壁の一つが取り除かれたことを意味する。これは単なる訴訟終結ではなく、Rippleに対する規制当局の姿勢が一定の軟化を見せ始めていることを示唆している。
ガーリングハウス氏は、ホワイトハウス関係者との面会すら叶わなかった時期を振り返り、現在は政府関係者に受け入れられる立場に変わったと語っている。この点からも、米国内でのRippleのプレゼンスが再評価されつつあることは明白である。法制度の整備が進む中、XRPのETF化に必要な信認環境は着実に整備されつつあり、それが11件に及ぶETF申請の存在とも符合する。
もっとも、法的障壁の緩和が即時の承認を保証するものではない点には留意すべきである。SECのETF審査は依然として厳格であり、市場への影響や流動性、透明性など複数の観点から精査が行われる。ただし、かつてのような敵対的関係ではなく、一定の協議可能性が生まれている今の状況は、Rippleにとって明確な前進である。
米国政府による暗号資産備蓄構想とXRPの含有可能性
トランプ前大統領が提案した「米国暗号資産備蓄」構想が、RippleとXRPに新たな道筋を与えつつある。同構想は、戦略的資産としてビットコインを中心に据えた上で、法執行機関によって押収された暗号資産を含むリストを編成するもので、その中にXRPも含まれる可能性があるとRipple側は示唆している。これは単なる政策提言に留まらず、ETF承認との相関を意識した戦略的文脈に位置付けられる。
米国政府がデジタル資産を国家的資産と見なしつつあることは、機関投資家や市場参加者にとっての安心材料となり得る。特にXRPのように過去に規制リスクの象徴とされていた銘柄が、国策レベルで再評価される場合、その信用補完効果は非常に大きい。ただし、備蓄構想自体が具体化するにはまだ政治的プロセスを多く残しており、今後の政策動向次第で流動的に変化し得る。
XRPが名指しで挙げられたという事実は、政治的支持の現れというよりも、市場における実用性や既存インフラとの親和性を評価した結果であると見られる。この点において、Rippleの長年にわたる送金分野での実績が一定の重みを持っていると推測される。国家備蓄という枠組みが現実化した場合、XRPの市場評価に与える影響は限定的なものではない。
ETF承認がXRP価格に与える潜在的インパクトと投資家心理の変化
XRPに関連するETFの承認は、暗号資産市場全体の構造変化をもたらす可能性を秘めている。ガーリングハウス氏は、現在保留中とされる11件のXRP ETF申請が2024年後半にも進展する可能性があると示唆しており、それが現実のものとなれば、XRPは機関投資家にとって合法かつアクセス可能な投資対象となる。これにより、市場への資金流入は大幅に拡大する可能性がある。
ETFが提供するのは、信頼性の高い投資商品としての枠組みである。これにより、XRPのボラティリティが一定程度抑制され、中長期的な保有に適した資産としての評価が高まる可能性がある。さらに、価格形成においても従来の投機的動向から脱し、ファンダメンタルズに基づく安定した評価が進むと見られる。すでに一部の市場関係者は、XRPの価格予測モデルを修正し始めている。
ただし、ETF承認のインパクトが即座に価格高騰へと直結するとは限らない。ビットコインETFが承認された際にも見られたように、初期段階では期待値の剥落による価格調整が発生するリスクもある。XRPに対する投資家心理は、規制環境の安定と実需の拡大という二つの軸で支えられる必要がある。市場参加者の成熟度が、ETFという新たな器の成否を左右する。
Source:Watcher Guru