Microsoftは、AI特化インフラ企業CoreWeaveとの約120億ドル規模のデータセンター契約オプションを見送り、代わってOpenAIが同契約を獲得した。これはAI分野におけるリソース配分の再考を示す動きと受け止められている。MicrosoftはCoreWeaveとの関係を整理しつつも、総額800億ドルに及ぶAI関連投資を継続する姿勢を明言している。
CoreWeaveは最大27億ドルのIPOを計画しており、専業AI企業による初の大型上場として注目を集める。OpenAIのサム・アルトマンCEOは、同社のハードウェア革新力と迅速な提供能力を高く評価しており、複数モデルの開発に不可欠だったと述べている。
一方、アナリストの間ではCoreWeaveのリース中心モデルに対する懸念も浮上しており、WeWorkとの類似性を指摘する声もある。今後の上場成否が、AIインフラ市場の信頼性に影響を及ぼす可能性がある。
OpenAIがCoreWeaveとの提携を主導 計算資源確保に向けた布石

Microsoftが見送った約120億ドル規模のCoreWeaveとの契約を、OpenAIが獲得したことで、AI分野における計算資源確保の優先順位が明確になった。OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、CoreWeaveを複数の主要AIモデルの開発において「最も重要な計算パートナーの一つ」と位置づけており、同社のデータセンターインフラやハードウェア供給の柔軟性を高く評価している。
この契約は、単なるインフラ提供に留まらず、AIモデルの訓練および推論処理の安定的な実行環境を得るための戦略的判断と見るべきである。2022年以降、急速に高まった生成AIへの需要に応えるため、専用GPUと拡張性の高いクラウド構成を持つCoreWeaveのような企業の存在価値は増している。
OpenAIがこの契約を選んだ背景には、拡大するユーザーベースへの対応力と、研究開発サイクルを維持するための即応性の高さがあると考えられる。
一方で、Microsoftは800億ドルをAI分野に継続投入する構えであり、CoreWeaveとの取引を回避したことは投資の縮小を意味しない。リソース配分においてより精密な選択を進めている姿勢が読み取れる。
CoreWeaveのIPOがもたらす市場への波及と構造的懸念
CoreWeaveは最大27億ドルの資金調達を目指すIPOを目前に控え、AIインフラ企業としては異例の注目を集めている。ChatGPTリリース以降、初の大規模な上場事例として、投資家や市場関係者はその評価をAIセクター全体の健全性を測る試金石と見なしている。
CoreWeaveはクラウドGPUサービスを核とした急成長を遂げたが、その収益基盤の大半がインフラのリースに依存しており、将来的な市場の変動に対する耐性に疑問も残る。
アナリストのジェフリー・エマニュエル氏は、同社のビジネスモデルをWeWorkになぞらえ、設備投資を前提とした拡大路線が需要変動に脆弱である可能性を指摘している。特に、パンデミック下でのWeWorkの失敗が示したように、リース戦略に過度に依拠する場合、固定費の重圧が収益構造を圧迫し得る構造的リスクが存在する。
一方、OpenAIが積極的にCoreWeaveを評価している事実からは、現段階では提供能力の高さが需要を上回ると判断されていることがうかがえる。ただし、上場後の市場評価や継続的な契約の獲得状況次第では、その成長軌道に変化が生じる可能性も否定できない。
Microsoftの撤退判断に見る戦略的再編の兆候
MicrosoftがCoreWeaveとの契約オプションを追求しなかった決定は、AIインフラ投資における同社の方針転換を象徴している。2月以降、複数の報道がMicrosoftのデータセンターリースからの撤退を示唆し、CoreWeave側はこれに対し反論を展開したが、背景にはAI関連予算のより効率的な活用に向けた再編の動きがあると見られる。
CEOサティア・ナデラ氏は、CNBCのインタビューにて800億ドルのAI投資継続を強調した一方、支出の質を重視する発言も見られた。Microsoftが抱えるAIプロジェクトの広がりと、独自クラウドAzureの強化に向けた投資再配分は、パートナー依存型のモデルからの脱却を意図していると解釈する余地がある。
この判断は、短期的にはCoreWeaveとの関係に影響を与えるが、中長期的にはMicrosoftが自社エコシステムの競争力を高めるために、自社制御可能なリソースへの注力を進めていることの表れといえる。今回の撤退は、単なる契約回避ではなく、より大きな再編計画の一環と捉えるべきである。
Source:Dataconomy