Metaが提供する生成AIモデル「Llama」に関して、提携先ホスティング企業との間で収益分配契約を結んでいた事実が、著作権侵害訴訟「Kadrey対Meta」の裁判資料から明らかとなった。CEOマーク・ザッカーバーグは、Llamaによる直接収益化を否定していたが、提出文書には一部パートナーからの収益をMetaが受け取っている旨が記されている。
AWSやNvidiaなどの名が挙がる中、Metaは今後もAI領域への巨額投資を継続する見通しであり、Llamaを通じた間接的な収益構造の実態が改めて問われる形となった。
MetaがLlama AIモデルを通じた収益化を開始

MetaのAIモデル「Llama」に関して、新たな裁判資料から同社が収益化を行っている事実が浮かび上がった。CEOマーク・ザッカーバーグは、Llamaモデルを利用するビジネスモデルについてこれまで否定的な姿勢を示していた。しかし、今回公開された裁判文書では、Llamaモデルをホストする企業が得た収益の一部をMetaと共有していることが明記されている。
これはMetaがモデルを提供することで得られる収益の一端がホストパートナーと分けられていることを意味する。
提携している企業として、AWS、Nvidia、Databricks、Google Cloudなどが挙げられ、これらの企業はLlamaモデルの導入や利用を容易にするための追加サービスやツールを提供していることが示されている。Metaは、これらのホストパートナーとの契約を通じて、新たな収益源を確保していると考えられる。
Llamaの商業化に対するMetaの戦略とその背景
MetaはこれまでLlamaモデルを商業化する意図がないと繰り返し表明していたが、収益分配契約の存在が判明したことでその戦略に疑問が生じる。特にザッカーバーグ氏が述べた通り、マイクロソフトやアマゾン、グーグルといった大手企業がLlamaモデルを再販する際には、Metaも収益の一部を得るべきだという考えが示された。
これは、Llamaを提供することでMetaが得る間接的な収益の一例であり、同社が広告やビジネスメッセージングサービスを通じて収益化を図る一環とも捉えられる。Metaの将来の収益化戦略には、AI研究を通じたモデルの改良という目的も含まれており、これがLlamaの商業化とどのように結びついていくかが注目される。
多くのAI関連企業が直接的な販売モデルを採る中で、MetaはLlamaを通じた間接的な利益の最大化を狙っていると言える。
AIへの投資拡大とMetaの未来の方向性
Metaは今年、AI分野への投資を大幅に拡大する方針を示しており、2025年には600億〜800億ドルの資本的支出(CapEx)を投じる計画が発表された。この金額は2024年の2倍に相当し、主にデータセンターの拡充とAI開発チームの強化に充てられる予定だ。
これにより、MetaはAIの研究・開発をさらに加速させると共に、AI技術を活用した製品の競争力を高める狙いがある。この投資は、LlamaをはじめとするAI技術の進化にとって重要な役割を果たす可能性が高い。
Llamaモデルを活用することにより、MetaはAIアシスタント「Meta AI」などの製品を進化させ、その性能を向上させることができる。このような投資拡大は、同社のAI戦略の中で中心的な位置を占めることになるだろう。
Source:TechCrunch