Appleは2025年後半に、次世代チップ「M5」を搭載したMacBook Proを投入する見通しだ。信頼性の高いBloombergの報告によれば、同モデルはiPadより先行してリリースされる可能性が高く、現行のM4世代から1年程度のサイクルで更新されることになる。
しかし、今回のアップデートは「スペックバンプ」にとどまり、デザイン面では大きな変更が加わられない見込みである。また、Apple自社製のC1モデムやOLEDディスプレイの導入については、いずれも2026年以降になる可能性が指摘されており、今次モデルへの搭載は現実的ではないと見られる。
性能面での着実な進化が期待される一方で、抜本的なハードウェア刷新にはもう少し時間を要することになりそうだ。
M5搭載はMacが先行 Appleの更新戦略に見える一貫性

2023年にはMacBook ProがiMacと並んでM3チップを初搭載し、2024年はiPad Proが先行してM4を採用したが、Bloombergの報道によれば、M5チップでは再びMacが先陣を切る可能性が高いという。2025年秋のリリース計画は過去2世代の動向と整合しており、AppleがMac向けハイエンドチップを年次で投入する方針を堅持していることがうかがえる。
M5チップの詳細な仕様は未公開であるが、従来通りプロセスの微細化やコアアーキテクチャの進化が図られるとみられ、ワークステーション用途における性能強化が主軸になると考えられる。一方、14インチと16インチの筐体設計に変更がない見込みであることから、今回のモデルは「スペックバンプ」としての位置づけにとどまる可能性が高い。
Appleは一部製品で外観刷新を伴わずに内部仕様のみを更新する方針を取っており、MacBook Proもその対象となっている。製品ライフサイクルと設計コストの観点からも、短期的な外観変更は合理性に欠ける。進化の焦点は、ユーザー体験に直結する処理速度や電力効率に置かれることになりそうだ。
自社開発モデムの可能性とMacBook Proへの展開時期
Appleは長年にわたりQualcomm依存からの脱却を図っており、2025年にはエントリースマートフォンであるiPhone 16eにおいて、初の自社開発モデム「C1」の搭載に踏み切った。C1はプロセッサと連携し、ネットワーク環境の変化に応じてデータ通信の優先順位を動的に制御する仕組みを持つとされ、今後Macにも波及する可能性が指摘されている。
MacBook Proにおいては、これまでモデムが搭載されておらず、外部ネットワークとの接続はWi-Fiまたはテザリングに依存してきた。だが、Appleがセルラー対応のMacBookを2026年以前に投入する計画を検討しているとの報道もあり、通信性能の自律性向上は新たな製品価値を生むと見られている。
ただし、C1モデムが実運用において安定した性能を発揮するか否かは、今後の市場評価次第となる。プロセッサとモデムの統合設計が進めば、Mac製品における消費電力の最適化や筐体内部の構成自由度が高まる可能性もある。
ただ、iPhoneとは異なる使用環境にあるMacでの導入には慎重な検証が求められるため、早期の実装は想定しにくい。通信インフラとの整合性やグローバル展開を見据えた戦略的判断が今後の鍵を握る。
OLEDディスプレイの導入は2026年以降か Appleの慎重な転換姿勢
MacBook ProへのOLEDディスプレイの導入は長らく噂されてきたが、現時点では2026年以降の実現が有力視されている。2023年にはSamsungがMac向けOLEDの供給体制を整備する動きが報じられ、2025年から2026年にかけて製造が開始される見通しが立った。これを受け、The ElecやOmdiaなど複数の情報源が2026年説を支持している。
Appleは現在、MacBook ProにminiLEDバックライトを採用しており、高輝度かつ高コントラストな表示性能を実現している。一方、OLEDは自己発光型であるため、さらに薄型化や深い黒の表現が可能となる。モバイルデバイスでのバッテリー効率も期待される技術ではあるが、焼き付きリスクや製造歩留まりといった課題が解決されなければ、大規模採用は難しい。
加えて、MacBook AirへのOLED導入は2029年以降とされており、Appleが段階的かつ慎重にディスプレイ技術の世代交代を図っている様子が見て取れる。仮に2026年にMacBook ProがOLEDを採用すれば、その製品は次なるデザイン刷新の象徴となるだろう。Appleが技術導入にあたり慎重な姿勢を保つ背景には、品質基準への強いこだわりが存在する。
Source:AppleInsider