未発表のPixel 10に関する情報がAOSP(Android Open Source Project)のコミットから明らかとなり、起動時間を最大30%短縮する「Parallel Module Loading」機能の実装が進められていることが判明した。

この改善は、Androidのマルチステージ初期化プロセスの最初期にあたるカーネルモジュール読み込みにおいて、処理の並列化によって高速化を図るもの。Pixel 10では「パフォーマンスモード」によって起動処理の一部が大幅に短縮されたとされ、Pixel Foldでも25%の改善が見られた。

Pixel 10が採用する並列モジュール読み込みとは何か

Pixel 10における最大30%の起動時間短縮は、AOSPに追加された「Parallel Module Loading」によるものである。この機能は、Androidの初期化プロセスにおいて必要なカーネルモジュールを複数のスレッドで同時に読み込む手法に基づいており、これまで直列的に処理されていた読み込み工程を効率化する。Googleは新たに「パフォーマンスモード」と「コンサバティブモード」の2種の挙動を定義しており、前者はスピード重視、後者は安定性を担保する構成となっている。

Pixel 10に搭載されたパフォーマンスモードでは、メインスレッドが次に必要なモジュールを検出しつつ、サブスレッドが前段の読み込みを待たずに処理を進める設計が採用されている。これにより起動の並列性が高まり、Pixel Foldでも25%の起動時間短縮が確認された。対象となったPixel Foldは2023年モデルと見られているが、詳細は明示されていない。コンサバティブモードは起動時に確実な読み込みを優先し、主にデバッグ用として使用される仕様である。

これらの改善がAndroidの起動時間全体に直結するかは不明だが、少なくともPixel 10の基礎性能においては明確な効果が示されている。オンデマンドでモジュールを扱える仕組みは今後の柔軟な機能追加にもつながる可能性がある。

高速化の恩恵と起動体験への影響

Pixel 10の起動時間が最大30%短縮されるという数値は、数秒の違いに過ぎないかもしれないが、日常の使用感に与える影響は無視できない。特に頻繁に電源を切る場面や、再起動を要するアップデート後の挙動においては、その数秒がユーザーの印象を左右することもある。起動速度の高速化は、見た目以上にデバイスのレスポンスの良さや信頼性にも関わってくる。

並列モジュール読み込みによって最適化された起動プロセスは、処理の密度と効率を高める効果があり、初期状態の安定性が確保されていれば、ほかのアプリや機能への影響も少なくなると考えられる。ただし、今回の高速化は「一部のプロセス」に限られた成果であるため、起動全体に均等な速度向上が見込めるわけではない。

とはいえ、こうした改良が積み重なることで、Pixel 10が「待たされることのないスマートフォン」へと一歩近づくのは確かだ。わずかな差であっても、使うたびに感じる快適さこそが、体験を左右する要素となる。機能面だけでなく、こうした裏側の設計思想が製品の完成度を底上げしていく。

Source:9to5Google