ARKインベストメント・マネジメントが、2024年に入り41.5%下落したテスラ株を9,351株追加取得し、約220万ドルを投入した。電気トラック「サイバートラック」約4.6万台のリコールや、14億ドル規模の設備投資乖離が報じられる中でも、ARKはテスラのEV業界における長期的な優位性に賭けた格好である。
加えて、CRISPR Therapeutics(CRSP)に約422万ドル、Iridium Communications(IRDM)に約284万ドルを新たに投資し、革新的分野への選好姿勢を鮮明にしている。一方、Meta Platforms(META)については約272万ドル相当の売却を実施し、調整局面を迎えた他銘柄でもポジションを圧縮した。
この動きは、市場の悲観論が漂う中でこそ成長の芽を積極的に拾い上げるという、ARK特有の逆張り戦略の一端を示唆している。
テスラ株追加取得に見るARKの市場観とリスク判断

ARKインベストは、2024年に41.5%の下落を記録したテスラ株を、主力ETFであるARKKを通じて9,351株取得した。総額約220万ドルに及ぶこの買い増しは、同社が短期的な業績不安や市場心理の悪化を受け止めつつも、テスラの長期的な成長可能性に依然として重きを置いていることを示している。特に、約4.6万台のサイバートラックのリコールや14億ドルの資本支出乖離といった懸念材料が表面化する中でも、同社は買いの姿勢を崩していない。
この動きは、ARKが短期的な企業不安を材料視しつつも、それを長期的な買い場と見なす投資哲学を体現するものと受け取れる。イーロン・マスク率いるテスラが、依然としてEV市場における構造的優位性と技術的先導力を保持しているとの見立てが根底にあるのは明らかである。一方で、複数の不確定要素が重なる中での投資強化には、市場の楽観とは異なるタイミング感やリスクテイク姿勢が見て取れる。
バイオテクノロジーと衛星通信への資金配分が示す次の成長焦点
ARKインベストは今回、テスラだけでなくCRISPR Therapeuticsに約422万ドル、Iridium Communicationsに約284万ドルの新規投資を行っている。前者はゲノム編集技術を担う企業、後者は衛星通信インフラを展開する企業であり、いずれも中長期的に社会構造を転換し得る領域とされる。ARKはこれらの企業への資金配分を通じて、医療革新と通信インフラの変革を成長ドライバーと見なしている可能性がある。
CRISPR技術に関しては、がん治療や遺伝病への応用が注目される一方で、規制や倫理的課題も立ちはだかる。Iridiumに関しても、低軌道衛星によるグローバル通信の進展が期待されるが、競合やコスト構造の課題は依然として解決されていない。こうした背景を踏まえると、ARKの資金配分は現状の収益性よりも、未来のインパクトと革新性を重視した意思決定に基づいていると読み取れる。
Metaなど既存テック銘柄の縮小に見る選好の変化
ARKはMeta Platformsの株式を4,648株、約272万ドル分売却している。これは2023年以降継続している保有比率の縮小傾向を反映した動きであり、ポートフォリオ全体の再構成の一環と見られる。あわせてAmgen、UiPath、Repare Therapeutics、Veeva Systemsといった銘柄でも小幅な売却を実施しており、資産配分の調整を進めている姿勢がうかがえる。
Metaに関しては、メタバースやAI領域への注力が継続する中で、株価は一定の水準に達したとする見方や、ARKの掲げる「破壊的イノベーション」との整合性が徐々に薄れてきたとする判断があるかもしれない。また、企業の成長性に対する評価だけでなく、市場全体におけるリスクとリターンのバランスを考慮した結果としての利益確定や分散戦略の一環とも受け取れる。
こうした売却は、ARKが単に人気銘柄を追うのではなく、将来的な構造転換を牽引する企業に資本を集中させるという意図を浮き彫りにしている。
Source:TipRanks