Android Autoに搭載されたGoogleマップのインシデント報告機能が、一部ユーザー間で混乱を招いている。ハザードアイコンが特定の車載ディスプレイで表示されず、報告機能自体が使えないという声がGoogleフォーラムを中心に相次いでいる。画面サイズやDPI設定が原因とされるが、同一環境でも表示の有無に差がある事例も報告されており、仕様の不透明さが問題を複雑にしている。Googleは改善の意向を示しているが、具体的な対応時期は示されていない。
表示される端末とされない端末の謎 同一環境でも差が出るインシデント報告機能

Android Auto上でのGoogleマップのインシデント報告機能において、同じ車両や同一メーカーのスマートフォンを使用しているにもかかわらず、表示の有無に違いが出るケースが複数報告されている。たとえば、Samsung製スマートフォンを使い、同じ車両に接続した際に、夫の端末ではハザードアイコンが表示されず、妻の端末では表示されるという事例がある。これはGoogleマップの実装に端末ごとの何らかの条件分岐があることを示唆しているが、仕様の詳細は公開されていない。
一部ではディスプレイのサイズやDPI(dots per inch)設定が影響しているとの指摘もある。小型の車載ディスプレイでは、インターフェース上に必要なスペースが確保できず、ハザードアイコンが非表示になる可能性があるとされている。しかし、10.2インチの大型ディスプレイでも機能が現れないという声もあり、単純な画面サイズの問題では片付けられない状況にある。
この仕様の不透明さがユーザーの混乱を招いている要因の一つといえる。表示されるか否かが実際にどの条件で決まっているのか、Google側の明示的なガイドラインはなく、フォーラムでは2024年12月から多くのスレッドが立ち、疑問と要望が噴出している。今後、設定変更による「自己解決」が限界を迎えれば、対応を待つしかない状況に陥る可能性もある。
DPI変更による回避策とその限界 ワイヤレスアダプターに頼る現実
表示されないハザードアイコンへの対処として、現在最も効果があるとされているのがDPI設定の変更である。Android Autoの表示レイアウトは接続された端末のDPIに大きく依存しており、ワイヤレスアダプターを経由することでDPIを一時的に調整し、隠れていたUI要素を強制的に表示させるという手法が一部ユーザー間で実践されている。この「回避策」は手軽で一見有効に見えるが、すべての端末で成功するわけではない。
実際、DPIを調整してもハザード報告ボタンが表示されなかったという事例も報告されており、アダプター経由での接続そのものが安定しないこともある。さらに、DPIの変更はGoogleが公式に推奨している設定ではなく、機能保証がないため、将来的にアプリの更新などで使えなくなる可能性もある。しかも、設定変更にはある程度の知識が必要であり、操作ミスによる表示崩れや不具合のリスクも拭えない。
本来であれば、Googleがインターフェースを自動的に端末ごとのスペックに最適化し、均一な体験を提供するべきである。DPI設定のような間接的な方法を使わなければ基本機能にアクセスできないという状況は、UI設計上の課題とも言えるだろう。現状では、この“裏技”に頼る以外の明確な解決策が示されておらず、機能が実装されていても使えないという逆説的な体験を多くのユーザーが味わっている。
Source:autoevolution