Microsoftは、Windows 11 バージョン23H2のBetaチャンネル向けに最新ビルド「22635.5097」を公開した。主な変更点は、ファイルエクスプローラーのアクセシビリティ向上と信頼性改善、Sandboxが起動しない不具合の修正、ロック画面やタスクバーのUI調整など多岐にわたる。
中でもファイルエクスプローラーでは、警告やエラーメッセージのテキスト拡大機能が改善され、検索インデクサーの不具合によるフリーズ問題も解消された点が注目される。さらに、簡体字中国語使用時の音声入力や、アラビア語環境でのタスクバー操作に関する不具合も修正された。
既知の問題としては、スタートメニューの新レイアウト表示でアプリ表示に遅延が生じるケースが報告されており、今後の修正が待たれる状況である。
ファイルエクスプローラーに拡張されたアクセシビリティと信頼性改善

Windows 11 build 22635.5097では、ファイルエクスプローラーに対して複数の細かな調整が加えられている。まず、「設定 > アクセシビリティ > テキストサイズ」経由でのテキスト拡大が、警告やエラーメッセージのダイアログにも反映されるようになった。これにより、視認性を求める環境でも安定した操作が可能となる。あわせて、検索インデクサーのフリーズがファイルエクスプローラー全体の停止を引き起こしていた問題や、ホーム内のファイル・フォルダーの日付が空白になるバグ、さらには起動信頼性に関わる問題も修正された。
一連の修正は表面上の操作性だけでなく、根本的な安定性を意識した対応に映る。検索インデクサーと連動していた不具合の解消は、裏側のシステム連携にまで手を入れた証左であり、単なる表示不具合の修正とは一線を画す。視覚的配慮と内部の処理効率を両立させようとする今回のアップデートは、今後のエクスプローラーの進化の方向性を示す一手とも受け取れる。従来から不満の声が絶えなかった部分への対応が進むことで、基本操作の快適さに直結する変化が期待される。
Windows Sandbox起動エラーの解消が示す安定性への意識
今回のビルドで修正された重要な要素のひとつに、Windows Sandboxの起動エラーがある。エラーコード「0x80072746」が一部の環境で表示され、仮想環境の起動そのものができなかった不具合に対し、MicrosoftはBetaビルド段階で対応を講じている。この修正により、開発やテスト用途でSandboxを利用していた一部のユーザーにとって、環境構築の安定性が大きく向上することとなる。
仮想環境が正常に動作しない問題は、セキュリティテストやアプリ検証といった用途での業務や個人作業に影響を与える可能性があるだけに、その修正は限定的でありながらも非常に実用性の高いものといえる。特に、正式リリース前のBeta段階での改善は、フィードバック体制が機能している証とも取れる。Sandboxは普段使わないユーザーには馴染みが薄い機能だが、システムの柔軟性や安全性を担保するツールとしては今後も注目され続けるだろう。
多言語環境や入力操作への対応強化が示す微調整の積み重ね
build 22635.5097では、ファイルエクスプローラーやSandboxといった大枠の改善に加えて、細かな入力操作や表示に関するバグフィックスも行われている。たとえば、表示言語にヘブライ語またはアラビア語を使用している環境で、ショートカット「WIN + T」によるタスクバー操作時のカーソル移動が反転していた問題が修正された。また、簡体字中国語の狭いレイアウトで音声入力が正常に動作しないバグについても対処がなされている。
これらの変更点は、目立つ新機能というよりも、利用者の操作環境を地道に整えるための微調整である。しかし、多言語対応やタッチ入力という現代的な使い方に対して、違和感のない操作感を維持するには欠かせない部分といえる。特定言語や特定レイアウトに起因する問題が見過ごされず修正されるという事実は、OSの国際化と多様な利用環境を前提とした姿勢の現れでもある。地道な修正の積み重ねが、結果として全体の完成度を底上げしていく構造が見えてくるアップデートである。
Source:Neowin