Microsoftは、Canaryチャネル向けのWindows 11 Build 27818で、内蔵ZIP解凍機能の処理速度を約5〜10%向上させた。特に数千の小ファイルが含まれるアーカイブで効果があり、長年指摘されてきた遅延問題に対応するものとなっている。
改善の対象はあくまでWindows標準の解凍機能に限られ、7-ZipやWinRARなどの外部アプリには影響しない。今回のアップデートは、これまでの圧縮機能の強化に続き、解凍処理に焦点を当てたものとされている。
本ビルドは現在プレビュー段階であり、正式リリースに向けた準備とみられるが、全ユーザーに恩恵が及ぶまでには今後の展開が注目される。
ZIP解凍処理の改善が実現した具体的な変更点

Windows 11 Build 27818では、内蔵のZIP解凍機能におけるパフォーマンス向上が図られた。特に対象となるのは、数千もの小さなファイルを含むアーカイブで、抽出処理の速度が従来よりも約5〜10%向上するという。この改善は、Canaryチャネルのプレビュー版として提供されており、現時点では一部のテスター環境に限定されている。
Microsoftは過去のアップデートでファイルの圧縮、すなわちZIPアーカイブの作成に焦点を当ててきたが、今回の更新では初めて明確に解凍処理そのものに手が入れられた。これにより、特に多くのリソースを要する展開処理において、システム全体の応答性が改善されることが期待されている。
なお、この変更はWindows標準のファイルエクスプローラーを通じた操作に限られ、7-ZipやWinRARなどのサードパーティ製ツールを使う場合には速度向上の恩恵は受けられない点に注意が必要である。
なぜ今ZIPの「解凍速度」が見直されたのか
ZIPファイルの解凍にかかる処理速度は、特に多くの小ファイルを扱う場面でユーザーの不満が顕在化しやすい領域であった。フォルダ内のサムネイル生成やインデックス作成など、Windowsの標準的なプロセスが絡むことで、展開作業全体の待機時間が長くなるケースが頻発していた。今回のアップデートは、そうした長年の課題に対する一つの回答と捉えることができる。
Microsoftがこのタイミングで解凍機能の最適化に踏み切った背景には、ZIP圧縮機能の改良が一段落したという側面もあるだろう。また、サードパーティ製ツールを使わずに標準機能のみで作業を完結させたいという利用者のニーズが一定数存在していることも無視できない。
この処理速度の向上が、目に見えて大きな変化を生むケースは限られるかもしれないが、「使っていてじわじわとストレスが減る」感覚を提供する更新である可能性がある。正式リリースに向けた今後の展開次第では、標準機能の評価が見直される契機にもなり得る。
Source:ExtremeTech