RDNA 4世代のAMD RX 9070シリーズが、Nvidiaの最新Blackwell世代GPUを供給量で圧倒しているとの情報が浮上している。大手オンライン小売店によると、AMD製品は週によってはRTX 5000シリーズの最大4倍に達する出荷量を記録しているという。

英OverclockersもRX 9070 XTの大規模な出荷を今後数週間内に予定しており、供給体制の強化が進む見込みだ。一方、NvidiaのRTX 5090は依然として流通の兆しが乏しく、在庫状況の改善は限定的との見方が出ている。

RX 9070はなぜ潤沢に流通しているのか 在庫格差を生んだ背景とは

AMDのRX 9070シリーズが市場に大量供給されている背景には、RDNA 4アーキテクチャの量産体制と出荷のスピード感が大きく影響していると考えられる。今回明らかになったのは、週によってはNvidiaのBlackwell世代GPUと比較して最大で4倍もの出荷量を誇るという点だ。YouTubeチャンネル「Moore’s Law is Dead」によると、この情報は大手オンライン小売業者からのものであり、複数の再入荷が短期間に行われていることが示されている。

一方、Nvidia側ではRTX 5080や5070 Tiといった製品の供給は徐々に進んでいるが、数量は限定的で、依然として流通量においてAMDに遅れを取っている状況が続いている。さらに、RTX 5090に関しては目立った入荷報告がなく、供給体制が整っていない可能性も指摘されている。

供給力の違いがここまで大きく表面化した背景には、製造ラインの確保やパートナー企業との連携状況、さらには需要の変動に対する対応力の差が関係しているとみられる。現時点では、AMDの方が安定した供給を続けており、その分ユーザーの注目も集まりやすい構図が生まれている。

RX 9070 XTへの高評価と需要過多がもたらす市場の温度感

Overclockersが言及したように、RX 9070 XTは今後1〜2週間のうちに大規模な出荷が予定されており、供給の安定化が進んでいる様子が見て取れる。しかし、同時にこのモデルは入荷後すぐに完売する傾向が続いており、需要に対して供給が完全に追いついていない実情もある。これは、性能面や価格帯のバランスがユーザーにとって魅力的であることを示している。

また、最近のNvidiaに対する評価の揺らぎも影響している可能性がある。RTX 5000シリーズは供給不足だけでなく、具体的な性能情報や価格設定においても懐疑的な声が一部で上がっている。これに対して、RX 9070 XTはパフォーマンス面で堅実な評価を獲得しており、自然と選択肢として浮上してくる構造になっている。

ただし、再入荷が頻繁に行われているとはいえ、購入を希望する層にとってはタイミングを逃すと入手が難しくなる点に変わりはない。こうした流動的な在庫状況を鑑みると、今後も供給量の動向は注意深く見守る必要があるだろう。短期的にはAMDが市場の注目を集める展開が続く可能性がある。

RTX 5090の沈黙が意味するものと今後の供給に対する不透明感

今回の供給状況に関する情報の中で、特に注目されるのがNvidiaのフラッグシップモデルであるRTX 5090に関する情報が一切含まれていなかった点だ。大手小売店においてもこの製品の入荷は確認されておらず、少なくとも現段階では流通の兆しは見えていない。これは3月末までに供給が始まるとされていた噂とは異なる動きであり、実際の状況はやや不透明だ。

確かにRTX 5090はハイエンド志向のニッチ製品であり、一般的な入荷ペースが他モデルより遅れることは不自然ではない。それでも、まったく情報が出てこないという点は異例であり、製造上の課題や戦略的な出荷調整が行われている可能性も否定できない。

一方で、RTX 5080や5070 Tiといったモデルは少量ながら流通しており、Nvidiaとしても供給体制の再構築を進めている段階にあると見られる。ただし、AMDのRX 9070と比較して圧倒的に劣る供給状況が続く限り、ユーザーの関心がNvidia製品に戻るにはもう少し時間がかかりそうだ。GPU選びの現場では、現実的な選択肢としてAMDに軍配が上がる状況が続いている。

Source:TechRadar