米AppleがiPhone 16に搭載予定と宣伝していた人工知能「Apple Intelligence」の一部機能が発売時点で提供されていなかったとして、消費者が同社を相手取り集団訴訟を提起した。訴状では、広告と実際の仕様に大きな乖離があったとされ、Appleが意図的に消費者の誤認を誘ったとの主張がなされている。

原告側は、競合が慎重な広報姿勢を取る中、Appleだけが不当に優位に立ったと指摘する。訴訟は数百万人規模の補償を求める内容で、企業の先行プロモーションにおける説明責任と消費者との信頼関係が厳しく問われる格好となった。

「Apple Intelligence」の実装遅延が訴訟の火種に

原告側が問題視しているのは、AppleがiPhone 16シリーズの発表時に「Apple Intelligence」というAI機能を強調しながらも、実際にはその多くが発売当初に利用できなかったという点である。特に、ユーザーの個人データを活用し複数アプリを横断して操作可能な新Siriは、目玉機能として宣伝されたにもかかわらず、年内には一部機能しか提供されない見通しとなった。

Apple自身もこれを認め、段階的な展開計画を今月初めに公表した。このような発表と現実の乖離が生じた背景には、AI機能という技術的に複雑な領域における開発と統合の困難さがあると見られる。だが、問題の本質は技術的課題そのものではなく、リリース時期と提供機能の明確な説明がなされなかった点にある。

消費者はAppleの広告に基づいて購入判断を下しており、その期待が裏切られた形となった。企業が技術的革新を先行して打ち出す際の情報開示の在り方が改めて問われている。

競合他社との比較で浮き彫りになるAppleの説明責任

訴状では、AppleがAI機能の実装を明確にしていない状態でiPhone 16を販売したことが、他社と比較して不公平な優位性をもたらしたと主張されている。実際、GoogleやSamsungなどの競合はAI機能に関する広報で慎重な姿勢を取る傾向があり、機能を正式に提供できる段階でのアナウンスを基本としている。

Appleが今回、機能の将来的な展開を前提にしながら発売直前に広告を打ったことが、「誤認を招いた」と見なされる一因となった。また、Appleは過去に新機能の一部を予告的に発表しながら、実装が大幅に遅れる事例をいくつか重ねてきた経緯がある。今回の訴訟では、そうした前例も踏まえ、意図的な消費者誘導があったのではないかという疑念が影を落とす。

企業の広告戦略における「期待値コントロール」はブランド価値に直結するが、その手法が不透明であった場合には逆に信頼を損なう。AIという注目技術を巡り、消費者との誠実なコミュニケーションのあり方が、今後一層重要になる可能性がある。

Source:PhoneArena