資産運用会社BitwiseのCIOマット・ホーガン氏は、金融市場の急落時におけるビットコインの動向について「Dip Then Rip(落ちてから跳ねる)」という一貫したパターンがあると指摘した。過去のデータでは、S&P500が2%以上下落した日の後、ビットコインは平均で2.6%下落するが、その1年後には平均190%の価格上昇を見せているとされる。Bitwiseは2029年に100万ドル到達の可能性も示唆しており、短期的な混乱を“割安の好機”と捉える姿勢を強めている。

市場急落時のビットコインは下落後に急反発する傾向がある

BitwiseのCIOであるマット・ホーガン氏は、S&P500が一日に2%以上下落した場面に注目し、その直後にビットコインも平均2.6%下落する傾向があると述べている。この現象は一見、ビットコインが安全資産とは言い難い印象を与えるが、実はその1年後に平均190%の反発を示してきたという。ホーガン氏はこのパターンを「Dip Then Rip(落ちてから跳ねる)」と呼び、仮想通貨市場で最も再現性のある動きの一つとして紹介している。

この反発パターンは、短期的な恐怖が資産価格に与える影響と、長期的な成長期待が評価に与える影響のギャップを突く動きと捉えることができる。実際、こうした急落時には割安感が広がるため、リスクを許容できる投資家が参入しやすくなる。これまでの実績が統計的に裏付けられている以上、一定の説得力を持つが、あくまで過去の傾向であり、今後も同様の結果になるとは限らない点は留意が必要である。

割引モデルと地政学的リスクがビットコイン価格に与える複雑な影響

ホーガン氏は、ビットコインの現在価値の評価にDCF(割引キャッシュフロー)モデルの原理を応用し、Bitwiseが2029年に100万ドルと見積もる価格予測を例示した。割引率によって現在の想定価値は大きく変動し、年間50%なら218,604ドル、75%なら122,633ドルとされる。この割引率は市場心理に大きく依存し、関税や紛争といった地政学的リスクの高まりによって一時的に跳ね上がることがある。

つまり、価格が下がる理由は、将来的な価値が疑問視されたというより、短期的な不確実性によって投資家の期待が冷えた結果とも言える。ホーガン氏はこれを“割安で買える瞬間”と見なしており、地政学的混乱はむしろ長期目線での仕込み時とする立場を取っている。ビットコインのようにキャッシュフローを生まない資産であっても、期待値に基づく評価軸を持つことで、価格変動を合理的に捉える視点が生まれている。

混乱はむしろ恩恵となるか 24時間取引の特性がもたらすビットコインの強み

ホーガン氏は、関税戦争のような政治的リスクに対し「ビットコインと直接の関係はない」としたうえで、むしろ流動性とグローバルな取引環境を備えたビットコインは、そうした混乱から恩恵を受ける可能性すらあると述べた。市場が閉じている週末や夜間でも取引可能である点が、他の資産とは一線を画す強みとなっている。

この24時間体制は、不測の事態が起きた際でも即座に反応できる柔軟性を持ち、投資家の出口戦略やエントリーポイントの選択肢を広げる。とりわけ、伝統的な金融市場では対応しきれないようなスピードで動く状況下では、この特徴が大きな優位性を発揮する。一方で、この常時開放性が価格の乱高下を助長する要因ともなり得るため、タイミングの見極めが求められる。冷静さを保ちつつ、市場の動きに合わせた判断が重要である。

Source:Bitcoin News