イーサリアムの価格が2,200ドルのレジスタンスに接近している。過去に反転を繰り返したこの水準は、下降チャネルの上限と重なり、複数のアナリストが警戒を強めている。もし突破に失敗すれば、1,700ドルまでの約13%の下落を招く可能性があるという。

一方で、1,980ドル付近のサポートが維持されれば、2,296ドルへの短期上昇も視野に入るとする強気派の見解もある。価格は1,999.75ドルと堅調だが、取引量が大幅に減少しており、勢いの持続性に不安が残る。

ETH/BTCのサポートテストや先物建玉の増加など、複数の材料が交錯する中、市場は次の大きな動きを見極めようとしている。

下降チャネルと2,200ドルの壁が示すイーサリアムのリスク

現在のイーサリアムは、下降チャネル内で推移する中、2,200ドルという過去に反落を繰り返したレジスタンスに再び接近している。この価格帯は下降チャネルの上限と重なり、テクニカル的には突破が難しい水準とされてきた。チャネル内では高値・安値のいずれも切り下がっており、弱気なトレンドの継続が示唆されている。

分析を行ったMadWhaleは、このレジスタンスを超えられなければ、ETH価格は13%の下落に直面し、過去にサポートとして機能した1,700ドルまで後退する可能性を指摘している。また、ボリューム分析では、上昇時の取引量が低下しており、上値の重さを物語る結果となっている。逆に、下落局面では売りの圧力が強まりやすい状況も確認されている。

このようなテクニカル背景を踏まえると、短期的な回復に期待するには根拠が乏しく、反発よりも下落シナリオの方が優勢に見える。ただし、絶対的な方向感が出るには、2,200ドルを明確にブレイクするか、あるいは拒絶された後の価格反応を見極める必要がある。今後のローソク足パターンやボリュームの動きが、分岐点となるだろう。

MACDと建玉の推移が示唆する反発の可能性

弱気ムードが強まる中でも、すべての指標が下落を支持しているわけではない。MACDでは、ヒストグラムの伸長とともに、MACDラインがシグナルラインとの強気クロスに接近しており、反転の兆しを読み取ることができる。これが成立すれば、短期的な価格反発につながる可能性がある。

さらに注目すべきは、先物建玉の動向である。CoinGapeによると、イーサリアムの先物建玉は過去最高の1,023万ETHに達しており、市場参加者の関心が高まっていることを裏付けている。このような建玉の増加は、ポジション調整を伴う急激な価格変動を引き起こす引き金となることもある。

ETH/BTCのペアも2020年以降で最も注目されるサポートラインに差し掛かっており、長期的な下落トレンドに一区切りがつく兆しと見なす見解もある。ただし、いずれの要素も「反発の可能性」を示すにとどまっており、明確な上昇トレンドへの転換とまでは言い切れない。現時点では、上昇と下落のシナリオが拮抗する局面にある。

取引量の減少が示す乖離とその意味

イーサリアムは記事執筆時点で1,999.75ドルと上昇傾向にあるが、その一方で24時間の取引量は37.37%も急減している。価格が上がる局面で出来高がついてこない場合、その上昇が一時的である可能性が高く、反落への備えが求められる。買い意欲が実態として伴っていないことが、取引量の急減に表れている。

この現象は、特に個人投資家が短期的なトレンドに追従する際に注意が必要となるポイントである。実需に裏打ちされた上昇であればボリュームも増加するはずだが、今回のケースではむしろ下落局面の方が取引量が増えており、売り圧力の存在が際立っている。これは市場心理が依然として慎重であることを示している。

価格と取引量のギャップは、見かけ上の強さに惑わされず、より中立的に相場を見る姿勢を促す。短期的には2,200ドル付近での反応がカギを握るが、ボリュームの推移が伴わない限り、持続的な上昇にはつながりにくい構図といえる。市場参加者は、この乖離に基づく不安定さを念頭に置く必要がある。

Source:CoinGape