ウォーレン・バフェットが2025年2月に3,570万ドルを追加投資し、持株比率28.2%に達したオキシデンタル・ペトロリアム(OXY)の株価が下落を続けている。年初来で3%以上の下落、初回取得価格からは約21%安と低迷し、市場ではその戦略の正当性に注目が集まっている。
一方、OXYは2024年Q4において債務返済の前倒し完了やキャッシュフローの堅調推移、生産・埋蔵量の増加など、財務・事業面での成果を示しており、長期的な展望に対する強気材料は存在する。
しかし、原油価格への過度な依存や生産予想の未達、レイモンド・ジェームズによる格下げなど、リスク要因も顕在化しており、短期的な価格反発には慎重な見方が求められる。
オキシデンタルの財務体質は改善傾向 CrownRock買収と資産売却が下支え

2023年のCrownRock買収を契機に、オキシデンタル・ペトロリアムは2024年第4四半期において45億ドルの債務返済を7か月前倒しで達成するなど、財務健全性を着実に高めている。同四半期には31億ドルの営業キャッシュフローを計上し、加えて14億ドルのフリーキャッシュフローを確保。上流資産の売却によって得た12億ドルも財務強化に寄与した。
生産面でも成果は顕著で、パーミアン盆地やロッキー山脈地域における日量146万バレルの生産量はガイダンスを上回った。さらに、2024年末の確認埋蔵量は前年の40億BOEから46億BOEへと増加し、リザーブリプレースメント率は230%を記録している。これは採掘量を大きく上回る新たな埋蔵量の獲得を意味し、将来の収益源確保に向けた布石となる。
一方で、こうしたファンダメンタルズの改善にもかかわらず株価が冴えない背景には、市場全体の原油価格動向への敏感な反応が影を落としている可能性がある。原油先物相場が下振れる局面では、同社のような価格ヘッジを行わない企業は特にリスクを抱えやすい。財務上の健全性が即時の市場評価に直結しにくい現状が、投資家心理を慎重にさせていると考えられる。
バフェットの強気姿勢と市場の温度差 28%の持株比率に潜むメッセージ
ウォーレン・バフェットは2025年2月、オキシデンタル・ペトロリアムの株式を新たに763,017株、3,570万ドル分取得し、持株比率を28.2%へと引き上げた。過去の平均取得価格である60ドルを下回る水準での買い増しは、一貫した信頼の表れとして市場に受け止められている。これにより、OXYはバークシャー・ハサウェイの中でも特異な位置づけを持つエネルギー銘柄となっている。
だが現実には、OXYの株価は2025年3月時点で47.94ドルと年初来で3%以上の下落に沈み、初回取得価格から約21%下回る水準にある。加えて、レイモンド・ジェームズが格付けを「強気買い」から「アウトパフォーム」へ引き下げ、目標株価を64ドルに修正したことは、短期的な上昇余地に対する見方が慎重になっている証左といえる。
市場が過去の実績やカリスマ性だけでなく、直近の実需やマクロ環境を重視していることが明らかであり、著名投資家による買い増しが即座に投資家全体のセンチメントに波及するとは限らない。市場との温度差をどう埋めていくかが、今後のOXYの評価において重要な焦点となろう。
Source:Finbold