株価が低迷する中でも、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイはAmazon株を手放していない。市場の一時的な揺らぎに左右されず、eコマースの支配的地位と先進的な物流戦略、そしてAWSを軸とする生成AIへの積極投資に将来的な価値を見出しているためである。

Amazonは2024年に即日配送地域を60%拡大、140都市圏に対応するなど、ラストワンマイルの効率化を徹底。さらに、AI関連では1000億ドル以上を投じてインフラから開発ツールまで3層構造のサービスを整備し、成長余地の大きい市場での主導権を狙う。

12%下落した株価と予想PER25倍という割安感に加え、EC市場の拡大余地やAI事業の成長性から、2025年以降の株価急騰の可能性が注目される状況となっている。


ロジスティクス刷新と即日配達拡大が支えるAmazonの成長戦略

Amazonは過去数年にわたり、物流の根幹を成すフルフィルメントネットワークを抜本的に見直してきた。従来の全国一律型モデルから、地域密着型へと倉庫体制を転換することで、配送における最もコストがかかる「ラストワンマイル」の負担を軽減。2024年には即日配達エリアを60%拡大し、140の都市圏をカバーするに至った。価格競争でも優位性を発揮しており、ある調査ではホリデーシーズンにおける平均価格が他のオンライン小売業者より14%安価であるとされた。

このような体制は単なるコスト効率の追求にとどまらず、消費者体験そのものの再定義を意図している。即日配達の実現は、オンラインショッピングがもつ最大の課題の一つである「待ち時間」の解消に直結する。競合がオムニチャネル戦略を強化するなか、Amazonはむしろ得意とするオンライン特化型のインフラ整備に集中することで、差別化された顧客価値を構築しつつある。eコマースが依然として小売全体の17%にとどまる中、この物流基盤は次なる成長の足場となる可能性がある。

AWSが描くAIエコシステムと1000億ドル投資の布石

AmazonのAI戦略の中核を成すのがAWSである。同社は2024年、AI関連事業に1000億ドル以上を投資し、クラウド顧客向けに多層的な生成AIプラットフォームを構築。第一層では開発者自身が大規模言語モデル(LLM)を設計できる柔軟性を提供し、第二層ではAmazon独自のLLMを活用したアプリ構築機能を展開。さらに第三層では、中小企業向けにコーディングやマーケティング自動化ツールなどを包括するプラグインサービスを用意する。

これにより、AWSは単なるインフラ提供者にとどまらず、顧客のビジネス価値創出そのものを担う存在へと進化しつつある。CEOアンディ・ジャシーの言葉を借りれば、「すべてのアプリケーションに生成AIが組み込まれる未来」は、もはや時間の問題である。既に数十億ドル規模に成長しているこの領域に対し、さらなる拡張の余地を見込む見解は、現時点での実績と市場環境を踏まえれば無理のない見通しといえる。ただし、競合の技術革新スピードを鑑みると、継続的な優位性確保には絶え間ないイノベーションが求められるだろう。

割安感漂う株価と成長期待の狭間で揺れる投資判断

2025年に向けてAmazon株が急騰する可能性が取り沙汰される背景には、現在の株価水準と企業の成長性のギャップがある。今年に入り株価は12%下落し、1年先の予想PERは25倍という水準にとどまる。テックセクター全体に広がる調整局面の中でも、Amazonはバークシャー・ハサウェイによって保有が継続されており、バフェットが同社の将来性を依然高く評価していることが示唆される。

ただし、The Motley Foolの「Stock Advisor」が選出する今注目すべき10銘柄にAmazonが含まれていない事実も見逃せない。現時点で株価が割安に見えるのは確かであるが、他により高いリターンが見込まれる銘柄が存在する可能性を示唆している。Amazonの成長期待は、EC市場拡大やAI事業によって裏打ちされているものの、それが株価に反映されるタイミングは市況や投資家心理に左右されやすい。ゆえに、短期的な反発ではなく、中長期的な視野での投資判断が求められる局面にある。

Source:The Motley Fool