ナスダックの下落局面で、投資家の関心は「マグニフィセント・セブン」の主力2社、Nvidiaとテスラに集中している。2025年初来で両社とも株価が大きく下落したが、アナリストの見解は明暗を分けた。Nvidiaは42件中39件が「買い」評価で、予想PER26倍、利益成長率48%と高水準。一方、テスラは高い予想PER(約86倍)と業績不安から意見が分かれ、36人中「売り」が11人に上る。
マスク氏と政界の関係性、ロボタクシー事業への期待、規制緩和といった材料が交錯する中、テスラは「戦場銘柄」と化している。第1四半期決算は両社にとって試金石となり、市場のボラティリティを一層高める可能性がある。
アナリスト評価が二極化するテスラ 期待と懸念が交錯する「戦場銘柄」の実像

2024年末に起きたトランプ氏の再選とイーロン・マスク氏との近しい関係性は、テスラ株の急騰を招いた要因のひとつとされている。ただし、この株価上昇には業績裏付けが乏しく、2025年に入ってからは市場全体の軟調地合いと第1四半期の納車数に対する不安が重なり、大幅な下落を記録している。予想PERは約86倍と極めて高く、ロボタクシーや人型ロボットといった将来事業への期待が株価を支えているが、実績の伴わない評価に対しては市場の警戒感も根強い。
アナリスト36人による評価は「買い」12人、「ホールド」13人、「売り」11人と三者が拮抗し、可視的なコンセンサスが形成されていない。平均目標株価は現状から41%の上昇余地を示唆するが、これはあくまで一部の強気派の予測に支えられており、全体的な見通しは不透明である。特に、JPモルガンのライアン・ブリンクマン氏は、マスク氏の政治的関与が特定層に悪印象を与え、販売活動への悪影響につながっていると警鐘を鳴らす。テスラ株は、期待とリスクが拮抗する中で、評価が割れる象徴的存在となっている。
Nvidiaは強固な支持を維持 競争圧力と規制環境下でも堅調な見通し
2025年初頭に13%下落したNvidia株に対しても市場は敏感に反応したが、アナリストの見解は極めて強気である。過去3カ月に発表された42本のレポートのうち、39本が「買い」推奨を示しており、「ホールド」はわずか3本にとどまる。予想PERは26倍まで低下し、かつての50倍超からは大きく割安感が広がった。さらに、2026年度の利益成長率は48%と見込まれ、成長性とバリュエーションのバランスが整いつつある。
一方で、中国のDeepSeekが旧型Nvidiaチップを用い、ChatGPT並みの性能を持つチャットボットを開発したと報じられたことは、短期的に業界に衝撃を与えた。米中間の輸出規制強化も依然としてリスク要因だが、CEOジェンスン・フアンはこれらを乗り越え、AIデータセンター市場が1兆ドル規模に拡大すると主張している。バンク・オブ・アメリカのヴィヴェク・アリヤ氏は、同社がインフラ市場で築いた競争優位性に注目しており、依然として市場の中核に位置づけられている。テクノロジーの進化と規制のはざまで、Nvidiaは信頼を維持し続けている。
Source: The Motley Fool