米政府による最大5,000億ドル規模のAIインフラ投資計画が進行する中、BigBear.aiとPalantir Technologiesの2社が注目を集めている。両社は国家安全保障や連邦機関向けにAIソリューションを提供しているが、財務状況や成長性には大きな隔たりがある。
BigBear.aiは2024年に約1.6億ドルの売上を記録したが、純損失は2.57億ドルに達し、目標未達や黒字化の見通し不透明さが課題とされる。一方でPalantirは政府および商業部門双方で堅調に拡大し、売上29億ドル、純利益約4.7億ドルと収益力の高さが際立つ。
特にPalantirのAIプラットフォーム「AIP」は企業向け需要を牽引しており、財務基盤も資産63億ドルに対し負債12億ドルと良好である。市場全体の調整局面を背景に、長期的なAI投資先の選別が改めて問われている。
財務構造に見るPalantirとBigBear.aiの実力差

2024年の実績を見る限り、両社の財務体力には明確な格差がある。Palantirは売上29億ドルを記録し、うち政府関連が16億ドル、商業部門も13億ドルに上る。粗利益率は80%と高水準で、純利益は4億6790万ドルに達した。一方、BigBear.aiは売上1億5820万ドルながら純損失は2億5710万ドルと、大幅な赤字に陥っている。その損失の大部分はデリバティブ資産の評価変動に起因するものである。
バランスシートにもその差は顕著に現れる。Palantirの総資産は63億ドルで、うち21億ドルが現金および同等物。対して負債は12億ドルにとどまり、極めて健全な財務体質といえる。BigBear.aiは総資産3億4380万ドルに対し負債が3億4640万ドルと、債務超過に近い水準である。マカリーナンCEOの就任後、純負債は大幅に圧縮されたものの、依然として不安定な状態を脱し切れていない。
成長性の面でも、Palantirは2025年に37億ドルの売上を見込んでおり、前年比28%増の見通し。これに対し、BigBear.aiの見込みは1億6000万~1億8000万ドルと控えめであり、伸びしろの差は大きい。収益力、資本効率、資金調達力のすべてにおいて、Palantirが明確に優位な立場にあるといえるだろう。
政府案件依存と商業展開の成否が分ける明暗
両社とも連邦政府との契約を基盤としており、国家安全保障やインフラ分野でのAI活用に注力している。BigBear.aiはデンバー国際空港における自動スクリーニング技術を提供するなど、現場レベルでの実用性を追求する姿勢が見て取れる。顧客には国土安全保障省や米陸軍が含まれ、政府支出の恩恵を受ける立場にあるのは事実である。
しかしながら、BigBear.aiは事業全体のスケールが小さく、現時点では政府以外への展開が限定的である。売上成長も緩やかで、2024年は前年比約2%の伸びにとどまった。一方のPalantirは、AIP(Artificial Intelligence Platform)を通じて商業分野にも進出しており、企業の業務効率化や意思決定支援に活用されている。この商業部門の売上が13億ドルに達し、前年比29%増を記録したことは、同社の事業モデルが広がりを持っている証左といえる。
AIソリューションをいかに現場で活用し、さらに広い産業領域へ応用していけるかが中長期的な成長を左右する。政府契約に依存するモデルは短期的には安定していても、政策転換や予算削減の影響を受けやすい。商業展開で実績を上げつつあるPalantirに比べ、BigBear.aiは現時点で戦略の選択肢が狭く、成長余地の開拓には課題が多い構図となっている。
Source: The Motley Fool