AppleがApple Watchへのカメラ内蔵を計画しているとBloombergが報道した。ディスプレイや側面への搭載が検討され、AIと連携して周囲の状況を認識し、必要な情報を提示する機能が想定されている。これはAirPodsにカメラを導入する計画に続く動きとみられる。

ただし、この技術は9月に発表が予想されるApple Watch Series 11には搭載されず、実現にはなお時間を要する模様である。また、同シリーズに関してはMicroLEDディスプレイやプロセッサ性能の向上が期待されているが、血圧測定機能の実装は見送られる見通しだ。

AI全体の開発状況も依然課題が多く、Siriの刷新計画も延期された中で、Appleのウェアラブル戦略がどのように進化するかに注目が集まっている。

Apple Watchへのカメラ搭載計画とAI連携構想の詳細

Bloombergの報道によれば、AppleはApple Watchの次世代モデルにカメラを組み込む開発を進めているという。標準モデルではディスプレイ上に、上位モデルのApple Watch Ultraではデジタルクラウンのある側面にカメラを設置する案が検討されている。AppleはすでにAirPodsにもカメラを内蔵する開発に着手しており、音声と映像の統合による新たなユーザー体験を模索している。

この取り組みは、周囲の環境をセンサーとAIで認識し、ユーザーが必要とする情報をタイムリーに提示することを目的としている。こうした動きは、単なる写真撮影やビデオ通話といった従来のカメラ用途とは異なり、AIによる環境分析を前提とした設計である点に特徴がある。

ユーザーの手元にあるApple Watchが、視覚情報をもとに状況判断を行い、予定の通知やナビゲーション支援などへ活用される可能性がある。ただし、実現時期については不透明であり、今年9月に発表が見込まれるApple Watch Series 11にはこの機能は搭載されないと見られている。技術的な課題やプライバシーへの懸念、法的な規制対応なども影響を及ぼす可能性がある。

Siri刷新の遅延が象徴するAppleのAI開発の現状

Appleは昨年秋、iPhone 16シリーズと同時に「Apple Intelligence」の展開を開始したが、導入は段階的かつ慎重に進められている。テキスト要約や画像編集、通知の優先制御といった機能が一部で提供されているものの、Appleが掲げたAI革命の全貌はまだ見えてこない。

とりわけ、Siriの全面的な再設計は注目されたが、計画は延期され、登場時期も来年以降になる見込みだ。この延期に伴い、Appleは開発体制の刷新に着手し、Apple Vision Proを率いたマイク・ロックウェル氏がSiriチームの指揮を執ると報じられた。

音声アシスタントとしてのSiriは、他社のAIアシスタントに比べてパーソナライズ機能の面で見劣りするとの指摘が以前からあった。Appleはユーザーの個人情報をローカルで処理する方針を貫いているため、クラウドベースのAIに比べて処理の自由度や学習速度に制約がある。

その一方で、プライバシー保護というAppleの企業姿勢は、一定の支持を集めてきた。Siriの進化にはこうした設計哲学と技術革新の両立が求められ、開発が複雑化していると考えられる。今後の成果は、Apple全体のAI戦略の成否を占う指標となる。

Source:Laptop Mag