Bloombergの報道によれば、Appleの次期スマートフォン「iPhone 17」のベースモデルに、これまでProモデルに限定されていたProMotionディスプレイが搭載される可能性があるという。ProMotionは最大120Hzの可変リフレッシュレートにより、滑らかな表示や応答性の向上、そしてバッテリー消費の最適化を実現する技術で、iPad ProやiPhone 13 Proで初めて採用された。
今回の動きは、約4年越しでの機能解放となる見込みで、常時表示機能やスタンバイ機能などの恩恵が、より広範なモデル層に波及する契機となる可能性がある。
ベースモデルへのProMotion搭載が意味するAppleの戦略転換

AppleがiPhone 17のベースモデルにProMotionディスプレイを搭載するとの報道は、同社の製品戦略における明確な転換点となる可能性がある。これまでProMotionは、iPad ProやiPhone 13 Proなどの上位モデルのみに限定された技術であった。
2017年の初導入から約8年、iPhoneでは2021年のProモデルから採用され、長らく「差別化要素」として維持されてきた。このタイミングでのベースモデルへの解放は、Appleが高性能化の恩恵をより広いユーザー層に届ける方向に舵を切ったと捉えられる。
ProMotionは最大120Hz、最低10Hzという可変リフレッシュレートに対応し、滑らかなスクロールやスムーズなアニメーション表現を可能にする。加えて、必要な場面のみ高リフレッシュ化する制御機構により、電力効率も高い。
この技術をベースモデルに適用することで、これまでProモデルでしか得られなかった使用感やバッテリー持続性能がより多くのユーザーに提供されることとなる。また、ProMotionは常時表示ディスプレイやスタンバイ機能の前提技術でもあり、iPhoneの基本的なユーザー体験そのものが変容する可能性もある。
今回の展開により、今後のProモデルとの差別化手法は一層複雑化するだろう。Appleが今後どの機能を上位モデル専用として維持し、どこまで一般モデルに開放するかが注視される局面である。
技術的優位性を武器にした中価格帯の市場再編
ProMotionディスプレイのベースモデル搭載は、iPhone 17シリーズ全体の価値構造を再定義する動きとも受け取れる。高速なリフレッシュレートと電力最適化の両立は、映像視聴やゲーム用途において顕著な体感差を生む。これまではProシリーズでしか体験できなかった滑らかさが、中価格帯モデルで標準化されることで、Android勢との競争環境も変化しうる。
これにより、価格と性能のバランスを重視する購買層を強く惹きつける布陣が整う。Appleは長年にわたり、上位モデルでの技術導入を経てから、一般モデルへの段階的展開を行ってきた。だがProMotionについては、導入から4年を経てようやく一般モデルへの移行が噂されるなど、やや慎重な対応が続いていた。
それだけに今回の動きは、Appleが中価格帯市場でも確かな差別化を維持しつつ、製品ラインの統一感を強める意図を持っていることを示唆する。なお、同時に報じられているiPhone 17の再設計カメラバンプやA19プロセッサの搭載も、ベースモデルの性能水準を底上げする要素となる。
ProMotionとの相乗効果により、単なるスペック強化にとどまらず、ユーザーの体験価値そのものが飛躍的に高まる構図が見えてくる。これが今後の買い替え需要にも影響を及ぼすことは、十分に考えられる。
Source:AppleInsider