米中関係の緊張や米株の停滞が続く中、中国株が再び脚光を浴びている。背景には政府の景気刺激策や割安な株価、AI・EV分野の急成長がある。Finboldはこの潮流を受け、「今が買い時」とする中国株としてアリババ(BABA)とXPeng(XPEV)を挙げている。
アリババはAIインフラへ500億ドル超を投資し、国際EC事業で32%の収益成長を記録。アップルとの提携やAI企業「DeepSeek」への投資構想も浮上し、2030年までの市場拡大に照準を合わせている。
一方XPengは、Turing AI搭載の自動運転技術を軸に、2月納車台数が前年比570%増と急拡大。英市場進出やBP・VWとの連携による充電インフラ強化など、成長戦略が市場の期待を集めている。
世界市場を見据えたアリババの戦略転換とAI分野への本格参入

アリババ(NYSE: BABA)は、2024年第4四半期においてタオバオとTモールの顧客管理収益を前年比9%押し上げ、国際ECの売上は32%と大幅に成長した。こうした成果の背景には、商人中心から消費者重視への戦略転換がある。価格を引き下げ、ユーザー体験を重視した設計に加え、AIの導入によるパーソナライズ化が、競争力を一段と高めている。
同社はAIおよびクラウド分野においても存在感を強めている。2030年に向けて8,270億ドルに達すると予測されるAI市場に対し、アリババは既に500億ドル超をAIインフラへ投資しており、今後の成長加速を視野に入れている。加えて、アップルとの協業により中国市場で販売されるiPhoneに自社AI機能を搭載する計画や、新興AI企業「DeepSeek」への投資構想も報じられている。
この一連の動きは、単なる業績回復ではなく、企業構造そのものの再構築を意味する。ただし、国家規制や米中間の地政学的緊張など、リスク要因も依然として重くのしかかる。株価は年初来で60%上昇しながらも、米国政府による制限リスクやテック業界に対する中国政府の姿勢が不安定要素となり続けている。
XPengの納車実績と国際展開に見るEV戦略の巧妙さ
XPeng(NYSE: XPEV)は2025年の導入を目指し、Turing AIスマートドライビングシステムを開発中である。この次世代システムは、安全性と自動運転機能、さらにはユーザーの運転体験を高度にパーソナライズ化することを目的としており、AIを軸とした差別化戦略が明確に打ち出されている。
直近の販売実績も好調を維持している。2025年2月には30,453台のスマートEVを納車し、前年同月比で実に570%もの大幅増加を記録。中でも「XPENG MONA M03」は3ヶ月連続で月間販売15,000台を突破し、ハイエンドモデル「XPENG P7+」も発売からわずか3ヶ月で3万台超を達成した。販売力の急伸が、技術面だけでなく供給体制やマーケティング戦略の成熟を物語っている。
加えて、同社は英国市場に参入し右ハンドル車の予約販売を開始。フォルクスワーゲンやBPとの連携により、20,000基以上の超高速EV充電インフラの整備を中国全土に展開するなど、エコシステム全体の強化にも注力している。年初来88%の株価上昇が示すように、市場の評価は高まっているが、競争激化と政策変動の影響は引き続き注視する必要がある。
Source: Finbold