Nvidiaの株価に2022年4月以来初となるデスクロスが出現した。短期の50日移動平均線が長期の200日移動平均線を下回るこの現象は、過去には6か月間で約47%の下落を引き起こしており、再び大幅な調整局面に入る可能性が取り沙汰されている。

一方で、AIチップの需要拡大や新製品「Blackwell Ultra」の登場、データセンター収益の成長見通しといった好材料により、ファンダメンタルズは依然として堅調である。

このように、テクニカル指標と企業業績の間に乖離が生じる中、市場では100ドル台への下落リスクと反発の可能性が交錯しており、今後の展開は投資家心理に大きく影響するとみられる。

デスクロスが示す過去の下落再現の懸念と現在の市場構造

Nvidia株に2022年4月以来のデスクロスが出現したことで、市場関係者の間では再び大幅な下落への警戒感が高まっている。今回のデスクロスは、50日移動平均(126.92ドル)が200日移動平均(127.76ドル)を下回ったことにより発生したものであり、過去にはこのシグナル出現後に約47%の株価下落が記録された経緯がある。年初来で既に約15%の下落を見せているNvidia株にとって、さらなる下値模索の展開は無視できない状況といえる。

特に、AI市場における注目度の高さとは裏腹に、年初からの調整局面が継続しており、テクニカル的な弱気トレンドが形成されつつある。X(旧Twitter)にて注目を集めるアナリスト「Diamond Options」は、3月21日の投稿で100ドルへの試しを警告し、1月高値153ドルを起点とした下降トレンドラインが依然として重くのしかかっていることを指摘している。モメンタム指標も弱く、RSI(相対力指数)は45.75と中立を下回り、過熱感のない地合いが続いている。

とはいえ、過去のパターンをそのまま再現する保証はなく、特に現在はAI市場の構造や投資家層が変化している点にも留意が必要である。前回と同じ下落幅に至るか否かは、テクニカル要因に加え、マクロ経済や政策動向との複合的な影響によって左右されると考えられる。

高まる下落リスクの中に潜む長期的成長の機運

短期的には弱気トレンドが意識されるNvidiaであるが、企業のファンダメンタルズには依然として力強さが見られる。AI分野における支配的な地位を背景に、2028年までにデータセンター事業の収益が1兆ドルに達するというジェンセン・フアンCEOの発言は、長期的成長の確信を示すものである。また、年内に投入が予定されている「Blackwell Ultra」チップは、効率性と性能の両面で新たな需要を喚起する可能性を持ち、投資家にとっては短期的な価格下落とは異なる視点が必要となる。

さらに、同社株のフォワードP/Eは26を下回り、PEG比率も0.5未満という数値は成長性を加味したうえでも割安と捉えられやすい。これは、同業他社や過去の水準と比較しても評価されうる水準であり、足元の調整が一時的な割安局面を提供している可能性を含んでいる。また、ウォール街のTipRanksアナリスト陣も「強い買い」の評価を維持し、12か月の平均目標株価を176ドルと設定している点も無視できないデータである。

現在の市場では、トランプ前大統領による関税再導入の懸念など、地政学的・政策的な不透明要因が短期の値動きに強く影響を及ぼしている。こうした外部要因が緩和されれば、Nvidiaの事業構造は再び強い上昇トレンドを描く地力を備えていると見る向きもある。目先の不安材料が払拭された場合、今の水準が長期的な投資機会となる可能性を慎重に見極める必要がある。

Source: Finbold