Googleが開発中のTensor G5に、Imagination Technologies製の最新GPU「DXT-48-1536」が搭載される可能性が浮上した。日本開催のRISC-V Day Tokyoを機に注目された大学院生の投稿に、このGPUとTensor G5の関連を示す表が含まれていたが、現在は削除済みである。

従来のArm製Mali-G715とは異なり、レイトレーシングなどの機能に対応したこのGPUが採用されれば、Pixel 10のグラフィック性能が大きく進化する可能性がある。また、Tensor G5はTSMC製の3nmプロセスで製造され、画像処理プロセッサやメモリ周辺も完全カスタム設計となる見通しだ。

さらに、同資料にはXiaomiの未発表チップ「玄界（XuanJie）」の記載もあり、Imagination製GPUの採用が広がる兆しも見て取れる。

Imagination製GPU「DXT-48-1536」が示すPixel 10の進化方向

今回明らかになった「DXT-48-1536」は、Pixel 10に搭載予定のTensor G5に組み込まれる可能性があるGPUで、レイトレーシング対応など最新のグラフィックス機能を備える。これまで採用されてきたArm製Mali-G715とはアーキテクチャが大きく異なり、ゲーム描画やグラフィック表現の品質向上に寄与する可能性がある。日本で開催されたRISC-V Day Tokyo関連の資料において、大学院生Yang Yanling氏の投稿内にこのGPUとTensor G5の組み合わせが示唆され、Imagination Technologies自身がその投稿をWeChatで共有していたことからも、情報の信憑性は比較的高いと見られる。

このGPUは従来のモバイルチップ向け構成とは異なるパフォーマンス重視の設計思想が垣間見える点が特徴であり、Pixelシリーズが描く方向性の転換を示しているとも解釈できる。ただし、現段階では実機での動作や最適化状況は不明であり、実際の製品に搭載されるかどうかは今後の正式発表を待つ必要がある。とはいえ、グラフィック性能に期待するユーザーにとっては見逃せない動きであり、次世代Pixelの可能性を感じさせる要素であることは間違いない。

TSMC製造と完全カスタム設計で変わるTensor G5の中身

Tensor G5は従来のTensor G3やG4とは異なり、SamsungではなくTSMCが3nmクラスのプロセスで製造を担当するとされている。これにより、電力効率や発熱、トランジスタ密度の面で大きな改善が見込まれる。また、CPUは引き続きArm Cortex系を採用しつつも、画像処理プロセッサ（ISP）やメモリ周辺についてはフルカスタム設計へと切り替わる見通しである。これまでのSamsungベースにGoogle独自のブロックを加える方式から、完全な独立設計へと移行することで、ソフトウェアとの統合度や処理の最適化が進む可能性がある。

特に画像処理に関しては、Pixelシリーズが評価されてきた強みのひとつであり、フルカスタムISPの導入は撮影体験の質に直結する。さらに、カスタムメモリコントローラやシステムキャッシュ、電源管理モジュールも含めた設計の自由度向上により、システム全体のチューニングにも柔軟性が生まれる。現時点でこれらの要素がPixel 10の完成度にどう影響するかは断定できないが、SoCの自社設計に本腰を入れる姿勢が明確になったことで、今後の進化に対する期待が一層高まっている。

謎のXiaomiチップ「玄界」にも浮上するImagination製GPUの影

Tensor G5と同じく、Imagination TechnologiesのGPUが関与しているとされるのが、資料に記載されていたXiaomiの未発表チップ「玄界（XuanJie）」である。この情報は同一資料の表内に記されていたもので、すでに削除されているが、Imaginationが複数のメーカー向けに新型GPUを提供している実態を垣間見る手がかりとなった。Xiaomiも独自チップの開発に取り組んでいるとされてきたが、今回の件でその開発が具体的な段階に入っている可能性が示唆された格好だ。

「玄界」というコードネームの詳細は一切不明ながらも、Imagination製GPUが採用されていることから、高性能グラフィック処理に重きを置いた構成であることが想定される。Xiaomiがこのチップをどのようなデバイスに投入するかは明らかでないが、同社のフラッグシップモデルやゲーミング用途の端末への展開が検討されていても不思議ではない。Imagination製GPUが今後のAndroid端末で広く存在感を増していく可能性を考えると、Pixel 10のみならず他社端末の動向にも注目が集まりそうだ。

Source：GSMArena