オープンソース技術を基盤に急成長を遂げるソーシャルプラットフォーム「Bluesky」に、元米国大統領バラク・オバマが参加した。Blueskyは3月23日、公式にこの事実を公表し、COOのローズ・ワン氏が本人確認を明言した。オバマは初投稿で、医療保険制度改革法(ACA)15周年への思いを語っている。
Blueskyは、2024年米大統領選後にユーザーが急増し、現在3300万人を超える規模に拡大している。背景には、X(旧Twitter)がイーロン・マスクの下で政治的に保守色を強め、リベラル層の離反が進んだことがある。Blueskyにはすでにオカシオ=コルテス議員やバーニー・サンダース氏らも参加しており、政治家による発信の新たな拠点として注目を集めている。
オバマの参加が示すBlueskyの信頼性と政治的意味合い

Blueskyが元大統領バラク・オバマのアカウント開設を正式に発表したことは、単なる著名人の流入にとどまらず、同プラットフォームの信頼性と方向性を象徴する出来事となった。COOのローズ・ワン氏が「確認済み」と明言したことで、その正当性が保証され、オバマ自身も最初の投稿で医療保険制度改革法(ACA)の15周年を取り上げ、政策的なメッセージを込めた。
この動きは、Blueskyが単なるSNSの代替手段を超え、公共的な議論や政策啓発の舞台として機能し始めていることを示唆する。X(旧Twitter)ではトランプ氏陣営による選挙活動が前面に出され、政治的偏向が顕著になった一方で、Blueskyにはリベラル寄りの議員たちが続々と参加している。特にオカシオ=コルテス議員が100万人のフォロワーを獲得した事実は、従来のSNS構造が崩れつつある証左ともいえる。
著名政治家の合流は、ユーザーに対する安心感と同時に、政策討議の質を高める契機ともなりうる。オバマの参加は、その象徴的な起点となった。
XからBlueskyへの移行が意味する社会的変化
Blueskyのユーザー数が2024年末に急増し、現在3300万人を超えた背景には、Xの政治的傾斜とその反動がある。イーロン・マスクがドナルド・トランプ前大統領の側近として影響力を強め、「政府効率省(DOGE)」を通じて連邦政府の縮小を進める中、XではMAGA寄りの発言が可視化される場となった。この流れに反発する形で、リベラル層のユーザーがBlueskyへとシフトした。
Blueskyはオープンソースに基づく分散型構造を持ち、中央集権的な運営から一定の距離を保つ設計思想が根底にある。政治的中立性や言論の自由を重視するユーザーにとって、このアーキテクチャは魅力的に映る。政治家の参加もまた、一方的な主張に頼らない議論の土壌を形成しうる要素となっている。
XとBlueskyの利用動向は、単なるSNSの乗り換え以上に、現代社会における「情報の信頼性」や「発言の自由」といった価値観の転換を示している。社会全体がその在り方を問い直す局面に差しかかっているといえる。
Source:TechCrunch