入手困難が続いていたNvidiaのGeForce RTX 5090 Founders Editionが、eBay上での平均取引価格を4,000ドルまで下げたことが判明した。発売直後には1万ドルに達する事例もあったが、過去1か月間の価格推移を見ると明確な下降傾向が確認されている。
標準偏差も1月末から3月中旬にかけて大きく縮小し、転売価格のばらつきが減少したことから、市場の一部で価格が安定し始めている可能性がある。ただし、このデータはFounders Editionに限定されており、他モデルやカスタム版の価格には当てはまらない点には注意が必要だ。
GTC参加者向けにMSRPで1,000台が提供された影響や、Camelcamelcamelでの価格追跡結果も含め、今後の供給状況次第ではさらなる価格調整が起こる余地も残されている。
eBayでの取引価格に見るRTX 5090の市場変動と供給の不均衡

GeForce RTX 5090 Founders Editionは、eBayにおける平均価格が発売直後の6,000ドルから4,000ドル台へと下落し、一定の安定傾向が見られるようになった。中でも1月30日から3月21日までの標準偏差が1,121.98ドルであったのに対し、3月に限って見ると145.60ドルにまで縮小しており、価格のばらつきが顕著に減少している。これは転売業者間の価格競争が緩和され、相場感が形成されつつあることを示唆している。
ただし、依然として希望小売価格とはかけ離れた水準であり、供給のひっ迫は継続中だ。特にブラックウェル世代の他GPUにも同様の傾向が波及しており、パンデミック期を彷彿とさせる需給の崩れが背景にある。さらに、販売されている製品の中には中古品も含まれているため、平均価格の推移には注意が必要である。事実としては安定化の兆しがあるものの、本格的な価格の正常化が進むかどうかは、今後の供給体制と市場需要のバランスに左右される。
GTCでの1,000台配布と価格下落の関連性を考察する
今年のGPU Technology Conference(GTC)において、NvidiaはMSRPで1,000台のRTX 5090を提供する機会を設けた。これは、台湾のローンチ時に割り当てられた数を上回る規模であり、一定数の製品が直接市場に流入したことになる。供給量の増加は転売市場への圧力を緩和し、結果としてeBayの平均価格にも影響を与えた可能性がある。特に、この配布時期と3月の価格安定化傾向が一致している点は無視できない。
一方で、これはごく一部の例外的な供給に過ぎず、一般の購入者にとって入手難の状況が劇的に変わったとは言い難い。Amazonの価格追跡サイト「Camelcamelcamel」における記録でも、9,000ドルから5,000ドルへの下落が観測されており、全体としては高止まりの傾向が続く。こうしたデータは、瞬間的な価格下落があっても、恒常的な値下げを保証するものではないことを示している。GTCでの限定的な提供は象徴的な一手ではあるが、広範な市場安定にはつながりにくいという見方も成り立つ。
RTX 5090の価格動向が示す次世代GPU購入の難しさ
RTX 5090はFounders Editionですら4,000ドル超の水準にあり、エントリーモデルでも3,000ドルを下回る例はほとんど存在しない。これにより、単体購入だけでなくシステムインテグレーターによる組み込みモデルにおいても、価格が跳ね上がる結果となっている。また、AMDのRX 9070も同様の供給制約に直面しており、MSRPでの入手は極めて困難な状況にある。
こうした流れは、単に性能を求めるだけではアクセスできない現実を浮き彫りにしている。高性能GPUを搭載した最新システムを手に入れるには、価格的な妥協か、時間をかけた情報収集と待機が必要となる。今後、供給が安定し始めれば価格の正常化が期待できるが、それがいつ実現するかは不透明であり、短期的には中古市場や限定供給による不均衡が続くと見られる。価格が落ち着き始めたという兆しはあるものの、それだけで安心するには時期尚早だといえる。
Source:Tom’s Hardware