ビットコインは現在85,720ドルで取引されており、短期的な底打ちの兆候が浮上している。背景には、FRBが短期インフレを容認する姿勢を示し、トランプ前大統領が4月の報復関税に対して柔軟な態度を取ったことがある。

10x Researchのティーレン氏によれば、これらの動きがビットコイン相場の反転を示す指標に作用しており、過去の上昇局面と類似のパターンが見られるという。ビットコインETFへの資金流入も再び始まっており、市場心理の改善も確認された。

ただし、今後9万ドル台には強い抵抗が存在し、上昇トレンドが一気に加速する明確な材料はまだ乏しいとされている。

FRBのインフレ対応と市場への含意

3月18日から19日にかけて行われた連邦準備制度理事会(FRB)の会合では、短期的なインフレ圧力を容認する姿勢が打ち出された。パウエル議長のハト派的な発言は、過度な金融引き締めを控える可能性を示唆し、結果として投資家心理を一定程度落ち着かせたと見られる。これにより、FRBによる市場下支え、いわゆる「FRBプット」の継続が意識され、株式市場や仮想通貨市場にとって安心材料となった。

こうした環境下で、ビットコインの21日移動平均は85,200ドルに達し、反転指標は強気に傾いたとされている。2023年9月や2024年8月にも見られたように、政治的・金融政策の変化は仮想通貨市場の転機となる傾向がある。市場参加者が期待するのは、単なる価格反発ではなく、構造的な上昇トレンドへの転換であるが、そのためには継続的な資金流入と政策の安定性が求められる。FRBの慎重なスタンスが当面の下値支えとなる可能性はあるものの、利下げや大規模緩和といった次の一手を見極める必要がある。

トランプの関税緩和姿勢が与える仮想通貨市場への影響

トランプ前大統領が4月2日に予定されている報復関税に対し「柔軟な対応」を示したことは、米国経済の先行き懸念をやや後退させた格好となった。この発言は、国際貿易の緊張緩和に直結するものであり、過去に関税が市場不安を引き起こした経緯を踏まえれば、投資家心理に与える影響は無視できない。仮想通貨アナリストのマーカス・ティーレンは、こうした要因がビットコインの底打ちを支えていると分析している。

政治的発言は本来、短期的なノイズとされがちだが、トランプ氏の影響力や政策の実行力を考慮すれば、中長期的にも市場の方向性に影響を与える可能性がある。仮想通貨は伝統的な市場の外に位置する資産クラスであるが、こうしたマクロ要因に対する反応は年々敏感になっている。特にETF市場や機関投資家の参入が進んだ現在では、従来以上に政策の一手が価格形成に影響を及ぼす構造に変化している。したがって今回の関税緩和姿勢は、単なる外交メッセージを超え、仮想通貨にとっても追い風になりうる。

Source:Cointelegraph