国際通貨基金(IMF)は、国際収支マニュアル第7版(BPM7)を改訂し、ビットコインを含む仮想通貨を公式な経済統計基準に初めて組み込んだ。

今回の改訂でビットコインは「支払い手段または価値の保存手段として設計された新しいデジタル資産」と位置づけられたが、一部で流布された「IMFがビットコインをデジタルゴールドと認定」との見解は誤解に基づくと、業界識者のデニス・ポーター氏が指摘している。

また、同マニュアルでは仮想通貨の分類を見直し、ビットコインを「生産性のない資本資産」、ステーブルコインを「金融商品」と定義。マイニングやステーキングも国際取引として明確に位置づけられ、規制と追跡の基盤強化が進められている。

IMFが初めて仮想通貨を統計基準に組み入れた背景と内容の全容

IMFが発表した国際収支マニュアル第7版(BPM7)は、デジタル資産の経済的影響力を踏まえ、仮想通貨を統計上の資産区分に正式に位置づけた点で画期的である。ビットコインは「支払い手段または価値の保存手段として設計された資産」とされ、「生産性のない資本資産」として分類された。一方、安定性を持つとされるステーブルコインは「金融商品」と定義され、実態に応じた取り扱いが明文化された。

この改訂により、国際的な資金フローの中で仮想通貨の取引がどのように把握されるべきかが明確化された。マイニングやステーキングについても、従来曖昧だった取り扱いを改め、「コンピューターサービスの輸出入」としてサービス収支に記録されることとなった。これにより、各国がデジタル資産に関連する国際取引をより精緻に追跡できる基盤が整えられたことになる。

今回の変更は、仮想通貨の市場拡大を受け、従来の金融統計体系だけでは対応できなくなっていた現実を反映したものである。IMFが公式文書の中で仮想通貨を認知した意義は大きく、各国の中央銀行や統計機関の今後の指針にも影響を及ぼすと考えられる。ただし、これはあくまでも統計上の認識であり、通貨や法定資産としての地位を与えたものではない点に留意が必要である。

「デジタルゴールド」論争が浮き彫りにした拡大解釈のリスク

IMFが「価値の保存手段として設計された」という表現を用いたことにより、SNS上では「IMFがビットコインをデジタルゴールドと認めた」との主張が拡散された。しかし、この解釈は原文の趣旨を超えており、ビットコイン擁護派による拡大解釈にすぎないとされる。業界の識者であるデニス・ポーター氏は、「どこでIMFがそのように述べたのか」と疑問を呈し、原文を精査すべきだと警鐘を鳴らしている。

実際のIMF文書には「デジタルゴールド」との記述は一切なく、単に「支払い手段または価値保存の目的で設計された」とされているにすぎない。このような文言は、資産としての可能性を示唆するものであって、その有効性や安定性を保証するものではない。特にビットコインは金とは異なり、過去の実績が短く、価格変動も著しい。したがって「デジタルゴールド」との表現には慎重な姿勢が求められる。

今回の論争は、専門用語が持つニュアンスと、それを巡る受け取り方のギャップを象徴している。公的機関の文書が誤って解釈されることで、市場に余計な期待や誤認識を招く恐れがある。仮想通貨という新領域では、言葉の精査と情報の取捨選択がこれまで以上に重要となる。デジタル資産が拡大する中で、誤情報の連鎖を防ぐ仕組みの整備が求められている。

Source:Coinpedia