イーサリアム(ETH)の価格が5,000ドルに迫る可能性が指摘されている。背景には、過去に1,400%超の急騰を生んだ長期トレンドラインの再接近と、3日間で12万ETHを買い増した大口投資家による動きがある。Ali Martinez氏はこの蓄積を強気材料とし、標準チャータードも4,000ドル到達を予測。

一方で、価格抵抗帯やマクロ要因がリスクとして残るため、過度な楽観は禁物である。さらに注目を集める新興プロジェクトRemittix(RTX)が、国際送金市場でETHを凌ぐリターンを狙う動きも市場の注目を二分させつつある。

大口投資家の買い増しが示すETHへの信頼と市場の潮目

3月、暗号資産アナリストAli Martinez氏が指摘した通り、イーサリアム(ETH)に対する大口投資家の買い増しが顕著となった。わずか3日間で12万ETH(約2億3,600万ドル相当)が複数のウォレットに蓄積され、そのうち1件では7,000ETH(約1,380万ドル相当)の取引が確認されている。こうした動きは単なる価格上昇への期待というよりも、ネットワークの堅牢性や中長期的な実用性への信頼の表れと見るべきである。

市場は現在1,997ドル前後で推移しているが、このようなクジラ(大口投資家)の動きは短期のボラティリティを超えた長期戦略に基づく判断といえる。加えて、過去にLUNA崩壊やBybitハッキングなどの外的要因を乗り越えた価格回復力は、イーサリアムの根強い基盤と支持層を物語っている。ただし、このような大口蓄積が市場全体の価格に即座に反映されるわけではなく、他のマクロ経済要因や政策動向との複合的な影響も勘案する必要がある。

クジラの蓄積は一種の市場シグナルであるが、それが示すのは価格の未来よりも、価値の本質に対する市場の共通認識であると捉えるべきだろう。

テクニカル分析が示唆する5,000ドルへの射程と抵抗の壁

イーサリアムの価格が5,000ドルに迫るという予測は、単なる市場の楽観論ではなく、明確なテクニカル根拠に基づいている。記事によれば、過去に1,400%を超える上昇を記録した長期トレンドラインが再び機能しており、現在も価格支持の基盤として意識されている。このラインはLUNA崩壊や他の市場ショック後にも回復の起点となっており、市場参加者にとっては心理的な安心材料でもある。

アナリストは、現状の価格帯である2,000ドル付近の抵抗帯を突破すれば、2,000ドル台中盤から3,000ドル、4,000ドル、そして5,000ドルへの急騰が視野に入るとする。ただし、これらの上昇予測は段階的な抵抗ラインを明確に突破することが前提であり、現在の売り圧力や外部要因が一時的な足枷となり得る。現に、2,061ドルまで上昇後、再び2,000ドルを下回っており、強い上昇トレンドには至っていない。

このように、5,000ドルという価格目標はあくまでテクニカルな想定であり、実現には市場のセンチメントや流動性、さらにはマクロ経済環境の後押しが必要となる。価格の可能性を読み解くには、テクニカル指標とファンダメンタルズの双方を冷静に捉える必要があるだろう。

Remittixの台頭が暗号資産市場の構図を揺るがす可能性

Remittix(RTX)は、1コイン0.0734ドルで5億2,100万コインを販売し、1,400万ドル以上の資金調達を達成した注目のプロジェクトである。暗号通貨の黎明期におけるイーサリアムのように、RTXはブロックチェーンを活用した国際送金の効率化に挑戦しており、グローバルな資金移動という具体的な課題解決を掲げている。市場では、このような現実世界のニーズに直接応える姿勢が、新たな信頼構築につながるとの見方もある。

RTXが注目される要因は、単なる価格の安さではなく、実用性を重視したサービス設計と、機関投資家と個人投資家の双方に訴求する戦略にある。これにより、従来のトークンのような投機的な側面ではなく、社会インフラとしての役割に期待が集まっている。特に、レイヤー2の統合やコンセンサスアルゴリズムの改良に注力する他プロジェクトと異なり、RTXはユーザー課題に即した機能提供を軸としている点が差別化につながっている。

ただし、イーサリアムの技術基盤や既存のエコシステムとの比較では、Remittixがどこまで浸透できるかは未知数である。現時点では将来的な成長性の一端を示すに過ぎず、過度な期待はリスク認識の妨げとなり得るだろう。両者の動向を見極めることが、暗号市場の次の局面を読む鍵となる。

Source:Crypto Daily