Ayaneoは、同社のミニPC「AM01S」にAMDのRyzen AI 9 HX 370を採用し、最大20%のGPU処理性能向上を実現するとして注目を集めている。搭載される12コアのZen 5 CPUと、Radeon 890M iGPUによる16基のコンピュートユニットが、Ryzen 9 8945HS構成と比較しても優れた処理能力を発揮する見込みだ。
一方で、外観や4インチセカンドディスプレイといったハードウェアの基本設計は、約1年前の初期モデルから大きな変更はない。クラシックなMacintosh風デザインも継承されており、従来のデザイン哲学が維持されている。
発売時期および価格は未公表であり、今後の詳細発表に関心が集まっている。
Ryzen AI 9 HX 370とRadeon 890Mの採用がもたらす実効性能の向上

Ayaneoが新たに投入するミニPC「AM01S」は、AMDの最新APU「Ryzen AI 9 HX 370」を採用し、従来モデルと比較して明確な性能向上を果たしている。具体的には、12基のZen 5 CPUコアと統合型グラフィックス「Radeon 890M」を搭載し、コンピュートユニットは16基に拡張された。これにより、Ryzen 9 8945HS構成と比較してもGPU負荷の高いタスクで最大20%の処理速度向上が見込まれる。
従来のRyzen 7 8845HSやRyzen 9 8945HSは、パフォーマンスと消費電力のバランスに優れた構成とされてきたが、AM01Sの最新構成はそれらを上回る処理効率を発揮する設計となっている。AI処理を含む並列計算領域でも、AMDが掲げるRyzen AIの名にふさわしい対応力が示される可能性が高い。
現時点ではベンチマークスコア等の詳細は明らかにされていないものの、スペック上の進化から判断すれば、軽量設計の筐体に対し処理密度の高いシステム構成が施されており、同カテゴリ製品の中でも競争力の高いポジションを得ると考えられる。
デザイン据え置きの判断が示すAyaneoの戦略的意図
AM01Sでは、クラシックなMacintosh風の筐体デザインと4インチのセカンドディスプレイという基本設計が継続されており、この点は初代モデルと大きく変化していない。今回、セカンドディスプレイがネイティブな横向き表示パネルであると明示されたことは技術的進化の一端を示しているものの、外観の刷新は見送られている。
これは製品設計の保守性ではなく、むしろ同ブランドのシリーズ統一性を重視した判断と見られる。ミニPC市場では外観の個性が差別化要素として機能しづらい中で、Ayaneoはレトロデザインを前面に打ち出すことで、視覚的な記憶に残る製品体験を演出してきた。AM01Sでもこの路線を堅持することで、ブランドの一貫性と既存ユーザーの支持維持を図っていると捉えられる。
また、外観の変更にコストや製造リスクが伴う中、内部仕様の刷新に集中することで技術的訴求力を高める狙いもあろう。今後、価格帯や投入市場の明示によって、この戦略の実効性がより明確になると見られる。
Source:NotebookCheck