2025年3月17日、パランティア・テクノロジーズの社長スティーブン・コーエン氏が、既存の10b5-1取引計画に基づき、約2700万ドル相当の株式を売却した。売却後の保有株はわずか592株に減少しており、インサイダーによる保有比率の急減が市場で注目されている。
同社の株価は2024年に300%以上の急騰を記録しながらも、現在は史上高値から23%下落し、過熱感を指摘する声が強まりつつある。一方で、防衛、製造、金融など多岐にわたる分野での展開を進めており、売上成長や顧客基盤の拡大は継続中とされる。
しかし、2026年の業績予測をもとにした評価では、株価が実態以上に高騰している可能性も浮上。アナリスト評価は分かれており、今後の成長ストーリーとバリュエーションのギャップに市場の関心が集まる展開となっている。
インサイダーの売却背景と株式評価の乖離

パランティア社の社長スティーブン・コーエン氏が実施した2700万ドル相当の株式売却は、SECへの届け出によれば、既存の「ルール10b5-1取引計画」に基づくものであり、事前に設定された枠組みによる自動的な取引とされている。取引は2024年12月に計画されており、売却価格は1株あたり85.18ドルから88.63ドルの範囲であった。売却後、コーエン氏が保有するクラスA株はわずか592株にまで減少しており、経営陣の持株比率低下が注視されている。
こうしたインサイダー売却は、企業の成長性に対する内部の評価やリスク回避の動きを映す一面がある。とりわけ、2024年に300%以上の急騰を記録し、時価総額が2133億ドルに達したPLTR株においては、成長期待と実体のギャップが鮮明になりつつある。2026年の業績予測に基づく仮定では、1株あたりの理論価格が70ドル程度にとどまる可能性があり、現行株価と大きな乖離があるとの見方が広がる。
株価が過去の売上倍率100倍で評価されたとしても、その水準は現在の市場価格を下回る点が示唆的である。短期的な市場熱狂に対し、ファンダメンタルズ重視の観点からは冷静な見直しが求められている。
多角的事業展開が示す成長余地と市場ポジショニング
パランティアは近年、防衛、製造、金融の各領域においてAI主導のソリューションを拡充しており、単一市場への依存を脱した成長モデルを築きつつある。特に、防衛・製造業界に向けて提供される「Warp Speed」プラットフォームは、EpirusやSaildroneなどの先端企業6社との新規契約を通じ、国内製造の強化や艦隊管理の高度化を支援する戦略的基盤として機能している。
さらに、金融分野ではTWG Globalとの戦略的合弁により、銀行、保険、資産運用業界におけるAI活用の再構築を進めている。CEOアレックス・カープ氏は、こうしたパートナーシップが企業にグローバル市場での優位性をもたらすと述べており、AIを業務中核に組み込むことで、断片的ではない統合的な企業変革を志向している姿勢がうかがえる。
このような複数業界にまたがる展開は、特定セクターの景気変動によるリスクを緩和しながら、中長期的な成長の持続性を担保する布石とも言える。AIインフラの提供企業として、経済・地政学的環境の変動に柔軟に対応するパランティアの立ち位置は、今後の市場評価にも大きな影響を与えることになろう。
Source:Barchart