Appleは、2030年までにサプライチェーン全体での再生可能エネルギー100%化を目指し、中国において7億2,000万元(約9,920万ドル)を新たに投資すると発表した。本投資は「第2次中国クリーンエネルギーファンド」の一環であり、年間55万メガワット時の風力・太陽光エネルギーを中国の電力網に供給する計画だ。
2018年開始の第1次ファンドでは1ギガワット時超の発電能力を構築しており、今回も同様の成果が期待されている。中国国内でのApple製品の製造においては既に再生可能エネルギーの利用が3分の2に達しており、本取り組みは地球規模の脱炭素化とサプライチェーン改革の両面で重要な意味を持つとみられる。
中国におけるAppleのクリーンエネルギー投資の実態

Appleが発表した7億2,000万元(約9,920万ドル)の投資は、「第2次中国クリーンエネルギーファンド」として位置づけられ、再生可能エネルギーの供給量拡大を目的としている。年間55万メガワット時という電力量は、一般家庭数十万世帯の年間使用量に相当し、同国の風力・太陽光インフラの強化に直結する。
これにより、Appleは中国全土にわたる製造委託先において、持続可能なエネルギー供給体制の構築を促すと見られる。同社の最高執行責任者ジェフ・ウィリアムズ氏は、スマートかつグリーンな製造を推進する中国のサプライヤーとの協力強化に意欲を示しており、本ファンドはその象徴的施策といえる。
第1次ファンドではすでに1ギガワット時超の発電プロジェクトが構築されており、第2次もこれに準ずるスケールで進行する可能性がある。事実上、このファンドは単なる再生エネルギー導入の枠にとどまらず、Appleの環境戦略とサプライチェーン構造改革を両立させる中核施策となっている。
再生可能エネルギー戦略とサプライチェーン最適化の交差点
Appleが2030年までにサプライチェーン全体で100%再生可能エネルギー化を掲げる背景には、国際的な脱炭素圧力と市場競争環境の変化がある。とりわけ、世界最大の製造拠点である中国において、すでに3分の2の製造が再生可能エネルギーで賄われているという事実は、同社の取り組みが表面的なCSRにとどまらず、実効性の高い政策として機能していることを示す。
このようなエネルギー構造の転換は、単なる環境配慮にとどまらず、電力コストの予見可能性向上やリスク分散という経営合理性にも資する。中国における発電の脱炭素化が進むことで、地域的エネルギーインフラの整備が進行し、それに呼応して現地の製造業も持続可能性の観点から再構築を迫られる局面が生まれる。
Appleの投資は、この構造変化に先手を打つ形で、単なる製品供給網の最適化にとどまらず、アジア圏での持続可能な経済圏形成を見据えた戦略的な布石として捉えることができる。
Source:9to5Mac