Appleは、USB-C版AirPods Maxに対してロスレスオーディオおよび超低遅延オーディオ対応という2つの機能追加を正式に発表した。対象は来月リリース予定のiOS 18.4およびmacOS Sequoia 15.4によるソフトウェアアップデートで、これによりUSB-C接続による高品質な有線再生が初めて可能となる。
ALACによる非圧縮音源の再生や、音楽制作・ゲーム・配信で求められるリアルタイム音声処理への対応は、これまで制約の多かったBluetooth接続の限界を超える可能性がある。ただし、これらの恩恵はUSB-C版のみに限定され、旧Lightning版AirPods Maxユーザーには適用されない。
この仕様変更により、Appleは2020年モデルと外観上の差異が少なかった新型AirPods Maxに、明確な価値差を与えることに成功した。プロ用途や高音質再生を求めるユーザーにとっては、初めて「買い替える理由」が示された格好だ。
ロスレス対応で高音質再生が本格化するAirPods Maxの進化

AppleはiOS 18.4およびmacOS Sequoia 15.4のリリースにあわせて、AirPods MaxのUSB-Cモデルにロスレスオーディオ再生機能を追加する。このアップデートにより、ALAC(Apple Lossless Audio Codec)による非圧縮音源の再生が可能となり、Bluetooth通信では不可避だった音質の劣化を回避できるようになる。
iPhoneやMac、iPadなどにUSB-Cで直接接続することで、ファイル圧縮による情報の損失を最小限に抑えた再生環境が整う。高性能ヘッドフォンを使用するユーザーにとっては、AACとALACの差異は明確に体感できる場合がある。ただし、ロスレス音源は容量が大きく、ストレージや通信量への配慮が必要となる点も見逃せない。
特に、Apple MusicやiTunes Storeでロスレス対応楽曲を利用するユーザーには、新機能の恩恵は大きい。一方、旧モデルであるLightning端子版AirPods Maxは本機能の対象外とされ、今回のアップデートによる恩恵を受けられない仕様となっている。
USB-Cモデルへの機能追加により、Appleは同一筐体のまま明確な差別化を図った形である。オーディオファンにとって、この機能は単なるアップデートではなく、再生品質の基準を塗り替える転換点になり得るだろう。
超低遅延オーディオによるプロ仕様対応とその波及効果
今回のソフトウェアアップデートでは、AirPods Max(USB-C版)が超低遅延オーディオにも対応する。これにより、従来のBluetooth接続で生じていた数百ミリ秒単位の遅延が解消され、音楽制作やライブ配信、ゲーミングといったリアルタイム性が求められるシーンでの使用が現実的になる。
Appleはこの機能により、AirPods Maxが頭部トラッキング対応の空間オーディオを搭載した唯一の音楽制作対応ヘッドフォンであると位置づけている。特に、トラック制作中にミックスをリアルタイムで確認する必要がある音楽制作者にとって、音の遅れは作業効率を大きく損なう要因であった。
有線接続でその課題を解決することで、プロフェッショナルユースにも応えうるデバイスとしての信頼性が高まる。また、ライブ配信やeスポーツにおける操作音と出力音のずれも最小限に抑えられることで、没入感やパフォーマンスの向上が期待される。
ただし、このような高度な機能が必要なユーザーは限定的であり、大多数の利用者にとっては価格とのバランスが依然として重要な判断基準となる。とはいえ、Appleがこれまでワイヤレス領域では困難とされてきた領域に本格的に踏み出した意義は、音響機器の市場においても無視できない変化といえる。
Source:Lifehacker