中国のEV大手Xpeng MotorsとNioが第4四半期決算を発表し、共に過去最高の納車台数を記録したが、その後の株価推移は明暗が分かれた。年初来で株価が約81%上昇したXpengは、粗利率の改善に加え、AIを中核とした自動運転戦略や新モデル「Mona M03」「P7+」の成功が評価されている。

一方、Nioはサブブランド「Onvo」の不振に加え、AI戦略に対する市場の関心を十分に引き寄せられていない状況が続いており、経営陣もその認知度や競争環境に課題を認めている。両社は年内の損益分岐点達成を掲げているが、成長の実行力においてXpengが一歩先を行っているとみられる。

投資家からの評価もXpengに軍配が上がっており、予想売上高倍率の高さはその将来性への期待を如実に反映している。


自動運転とAIがもたらす競争優位 Xpengの戦略的先行

Xpeng Motorsは2025年内にレベル3の条件付き自動運転を実現し、翌年には限定シナリオ下でのレベル4自動運転を目指すと明言している。第4四半期決算説明会で「AI」という語が49回登場した事実からも、自動運転技術を成長戦略の中核とする同社の姿勢は明確である。加えて、2026年までに人型ロボットや空飛ぶ車の量産計画を掲げるなど、その研究開発投資は業界の中でも群を抜く野心的な内容となっている。

Nioが同様の分野に取り組んでいないわけではないが、リーCEO自身が「短期的には業績目標が最優先」と述べており、中長期の技術開発と事業化へのアプローチに温度差が見られる。UBSのアナリストであるポール・ゴン氏が、XpengのAI戦略に比してNioの姿勢の希薄さを指摘した点も、市場の評価の差に反映された形だろう。

AIを軸とした競争力は今後のEV市場において不可欠であり、その点でXpengは自社の成長物語をテクノロジーで構築しようとしている。一方でNioは現時点での財務健全性や納車増加に焦点を当てており、両社の戦略は構造的に異なる。

モデル展開と納車実績の差が示す事業執行力

2024年第4四半期において、Xpeng Motorsは前年同期比52.1%増の納車を達成し、Nioの45.2%増を上回った。販売面でもXpengの「Mona M03」は3ヶ月連続で月間1万台超を記録し、「P7+」は発売後3ヶ月で累計3万台の納車に至っている。対照的に、Nioが展開するエントリーモデルブランド「Onvo」は市場での反響が限定的であり、新規受注に苦戦していることがCEOリーの発言からも明らかとなった。

両社ともに通年で納車台数を倍増させる計画を掲げているが、Xpengの第1四半期ガイダンスでは前年比4倍以上の売上を見込み、納車台数も中央値で92,000台に達する見通しである。これはNioの見込みの2倍以上にあたり、事業執行の確度においてXpengが優位に立つ状況を示している。

Onvoの苦戦理由としては、ブランド認知度の低さや他社による攻勢的なPR戦略が指摘されているが、Nioがスケールを欠く一方で、Xpengはモデル投入から短期間で市場への浸透に成功している。これは製品企画と販売戦略における明確な力量差の表れと言える。

Source:Barchart