サムスンが、すでに発表済みのGalaxy XRヘッドセットに加え、2種類の新たなXRスマートグラスを開発していると韓国メディアET Newsが報じた。コードネームは「Haean」と「Jinju」で、一般的なメガネに近いスリムなデザインを採用し、光学モジュールや音声伝達フレームなどの先進技術が搭載される可能性がある。

これらのスマートグラスは、Galaxy XRと同時期に発表される可能性があるものの、現在はまだ開発初期段階とされ、登場時期や仕様には慎重な見方もある。サムスンが複数の製品形状でXR市場を探る姿勢は、急成長するウェアラブル技術の分野で主導権を握る狙いがあると見られる。

価格面ではGalaxy XRが約2,500ドルと予測されており、高性能路線と日常使いの両面から市場攻略を図る構えだ。

「Project Moohan」に続く2種のスマートグラス開発が進行中

サムスンは「Project Moohan」として知られるGalaxy XRヘッドセットに加え、「Haean」と「Jinju」という2つのXRスマートグラスのプロジェクトを進行中であるとET Newsが報じている。これらのデバイスは複合現実(MR)技術を搭載し、一般的なメガネに近いスリムな外観を持ちながら、光学モジュールやセンサーなどの高度な機能が内蔵される可能性がある。さらに、音声出力にはフレーム自体を利用する設計が検討されているとされ、既存のイヤホンやスピーカーに代わる新たな音響体験が期待されている。

「Haean」と「Jinju」の技術仕様やデザインはまだ初期段階であり、正式なリリース時期や搭載機能については明確になっていない。ただし、Galaxy XRヘッドセットと同様に、これらのスマートグラスが2025年後半に登場する可能性も示唆されている。Galaxy XRの価格が米国市場で約2,500ドルと予想されるなか、「Haean」「Jinju」はより軽量かつカジュアルな用途に向けたデバイスとして位置づけられる可能性がある。

現時点では、Galaxy XRが高性能・高価格帯を狙うプロ向けの製品であるのに対し、HaeanとJinjuは日常生活へのXR技術の浸透を目指した実験的な取り組みと考えられる。

スリムなスマートグラスが示す次世代ウェアラブルの方向性

サムスンが進める「Haean」と「Jinju」は、メガネ型のスマートグラスという形状からもわかるように、日常生活の中で自然に使えるXRデバイスとして設計されている可能性がある。これまでのヘッドセット型とは異なり、軽量で目立ちにくいスタイルが重視されている点は、XRの利用シーンを一気に拡張する要因となり得る。特に、通勤中や外出先などで、スマートフォンの代替として情報表示や音声アシストを行うツールとしての活用が期待される。

一方で、眼鏡型という制約の中で、バッテリー容量や処理性能、表示品質をどう確保するかは依然として大きな課題である。加えて、音声伝達をフレーム経由で行うという構造は非常に興味深いが、騒がしい環境での聞き取り性能やプライバシー確保といった実用面での不安も残る。

現時点では、XR技術を日常に溶け込ませるアプローチの一環として見るべきだが、量産モデルの仕様や価格帯が明らかになるまで、実用性を過信するのは早計だろう。とはいえ、これまでにないスマートグラスの進化を目にする第一歩となる可能性がある。

ハイエンドのGalaxy XRと軽量グラスの住み分けに注目

Galaxy XRはすでに複数のテックイベントで披露されており、AndroidベースのXRヘッドセットとして高性能な体験を提供することが想定されている。米国市場での価格は約2,500ドルと予測され、コンテンツ制作者やXRアプリの開発者など、専門的な用途を想定したデバイスと考えられる。この高価格帯が示すのは、没入感や処理性能の高さへのこだわりであり、単なるガジェット以上の役割が期待されている。

一方で、「Haean」や「Jinju」は、その価格やデザインから見てもより軽量な選択肢であり、日常生活で気軽にXRを体験する層を狙っていると考えられる。特にメッセージ通知やナビゲーション、音声アシストのようなライトな機能に特化したモデルとなる可能性もある。

この2層構造の展開により、サムスンは異なるニーズに応じたデバイス戦略を描いているようにも見える。ただし、用途に応じたアプリやサービスの最適化が伴わなければ、単なるデバイスの多様化に留まる可能性も否定できない。製品の真価は、ハードとソフトの融合によって決まるだろう。

Source:PhoneArena