テスラ(TSLA)の株価が2025年3月時点で9週連続の下落を記録し、年初から33%超の急落を見せている。BYDやZeekrといった中国EV勢の急成長と価格競争が背景にあり、テスラの高価格戦略や自動運転技術の優位性にも陰りが見えてきた。

加えて、サイバートラックの再リコールや欧州市場での評価低下、イーロン・マスクの政治的関与とDOGEでの活動もブランド信頼に影を落としている。だが、FSDやAI、人型ロボット「Optimus」など将来のビジョンには依然注目が集まっており、評価は二極化している。

アナリスト間では「ホールド」が優勢な一方、「強く買い」評価も増加。目標株価は平均338.94ドルとされ、現水準からの回復余地も見込まれているが、市場の不透明感は拭えない。


株価急落の連鎖要因とテスラを取り巻く市場環境の変化

テスラの株価は2025年3月21日時点で9週連続の下落を記録し、年初からの下落率は33%に達した。背景には、BYDやZeekrといった中国EVメーカーによる圧倒的な技術革新と価格競争力がある。BYDは5分で約400km分の充電が可能な新システムを発表し、テスラのスーパーチャージャーを大きく上回る性能を示した。Zeekrも先進的な自動運転技術を無償で提供しており、価格と機能の両面で差を広げている。

さらに、欧州市場での登録台数の減少や、サイバートラックの再リコールといった品質問題も逆風となった。サイバートラックは約46,000台の追加リコールに見舞われており、その原因は走行中にパネルが外れるという設計上の致命的欠陥にある。SNSではパネルを手で剥がす様子が拡散され、ブランドイメージを大きく損なった。

加えて、イーロン・マスクの政治的立場やDOGEでの活動が、投資家や欧州の政治指導者に不安を与えている。DOGEのリーダーとしての活動とトランプ元大統領との近さは、テスラの中立性に疑念を生じさせ、投資家心理に悪影響を与えた。結果として、テスラは「マグニフィセント7」の中で最も大きな打撃を受ける形となった。

財務基盤と技術ビジョンに見る成長可能性とその限界

2025年現在、テスラは依然として強固な財務基盤を維持している。366億ドルの現金・投資残高、84億ドルの調整後純利益、36億ドルのフリーキャッシュフローは、同業他社と比較しても堅牢であり、短期的な資金繰りに不安は見られない。これにより、短期的な株価下落にも耐えうる構造を持っている。

一方、2024年第4四半期決算では、市場予想を下回る収益結果が発表された。通期納車目標は未達、収益は前年比2%増の257億ドル、自動車販売は8%減少した。値下げによる販売促進策も効果が限定的で、モデル3やYの販売は振るわなかった。株価は依然として将来利益の93倍、売上高の7.42倍という高い水準にあり、市場の期待値に比して実態との乖離が拡大している。

とはいえ、FSD(完全自動運転)やAI、ヒューマノイドロボット「Optimus」など、将来を見据えた構想には注目が集まる。マスクは2025年を「画期的な年」、2026年以降を「伝説的」「素晴らしい年」と表現し、ロボタクシーやAI技術による産業変革に自信を示している。ただし、こうしたビジョンの実現性は市場の信頼回復と実行力にかかっており、株価回復の条件は依然として厳しいものとなっている。

Source:Barchart