サムスンが2024年9月に発売したGalaxy S24 FEは、過去のFEモデルにあった独自性や魅力が薄れ、単なるS24シリーズの廉価版との評価が広がっている。Exynosチップやトリプルカメラなどスペック面に進化はあるが、価格は649.99ドルと中途半端で、ソフトウェア面でもOne UI 7の提供遅れが影響した。

一方、2021年のS21 FEは699ドルながらも高評価を得て、サムスンの中価格帯戦略に貢献。S23 FEも一定の支持を集めていただけに、今回のS24 FEには「選ぶ理由」が見えにくい。初期の成功体験を踏まえ、FEシリーズの再構築が求められている。

今後は価格設定の見直しに加え、大容量バッテリーや高速充電、高性能フロントカメラといった付加価値の導入が鍵となる。サムスンがFEブランドに本気で向き合うなら、今が方向転換のタイミングだ。

S24 FEに欠けた“特別感” 歴代モデルとの決定的な差とは

Galaxy S24 FEは、6.7インチディスプレイやExynosチップセット、トリプルカメラ構成などスペック面では一定の進化を遂げたものの、外観はS24 Plusを踏襲したシンプルなフラットデザインにとどまり、視覚的な新鮮さに乏しい。価格も649.99ドルからとミッドレンジとしては中途半端な設定で、上位モデルとの差別化が見えにくい構成となっている。

これに対し、2021年に登場したS21 FEは、素材面でのコストカットはあったものの、699ドルという価格ながら高性能なインカメラやバランスの取れた仕様で多くの支持を集めた。2023年のS23 FEも、標準S23の特徴をうまく落とし込みながら、価格を599ドルに抑えたことで、投入の意味を明確に示していた。

S24 FEには、そうした“選ばれる理由”が見当たらない。One UI 7の遅延もあってソフトウェア面での強みも打ち出せず、機能面と価格のバランスも曖昧である。これらの状況を踏まえると、ただの廉価版ではなく、“FE”としての意義を再定義する必要がある。

S25 FEへの期待と求められる具体的進化

今後のFEシリーズに必要なのは、スペックの一部を削って価格を調整する手法から脱却し、個性的な機能や体験を重視した方向性への転換である。とくにカメラとバッテリーは、日常的な使用に直結する要素であり、強化が期待されている。S21 FEで高評価だった自撮り性能を進化させ、暗所でも高精細な撮影が可能なフロントカメラを搭載することは、現在のニーズにも合致する。

また、バッテリーについては、5500mAh以上の大容量を搭載しつつ、66W以上の高速充電に対応させることで、日常の利便性を大きく向上できる。実際にサムスンは一部の低価格帯モデルでこれらの仕様を実現しており、FEシリーズにも展開するハードルは決して高くないはずだ。

さらに、デザイン面でも専用ロゴを背面に配するなど、Wシリーズのようなブランド的個性を持たせる試みもあってよい。S25 FEがこうした要素を備えることで、ようやく“Fan Edition”としての原点に立ち返る可能性が生まれる。

FEの価値を決めるのは「最初に体験できる」かどうか

スマートフォン選びにおいて、最新のソフトウェアや機能をいち早く使えることが重要視される中で、FEシリーズが後手に回る状況は致命的である。S24 FEでは、One UI 7の提供が遅れたことで、発売直後の新鮮さが失われた。せっかくの新モデルであるにもかかわらず、最新ソフトが使えないという矛盾が“選ばれにくさ”に拍車をかけた。

これを改善するには、次世代FEモデル、たとえばS25 FEで、ソフトウェアの最優先提供を目指す必要がある。新しいUIや機能を最初に体験できるという特典があれば、同価格帯の他機種にはない魅力となる。特に、Androidアップデートを重視する層にとっては、購入の決め手となり得る要素である。

ハードではなくソフトで先行する戦略が取られれば、FEは「新機能のお試し機」としての新たな立ち位置を確立できるかもしれない。価格を抑えつつも、先進的な体験を重視するモデルへと進化することが、今後のFEブランドの存続にとって不可欠である。

Source:Sammy Fans