Samsungは、専用メガネ不要の裸眼3D表示を実現する27インチゲーミングモニター「Odyssey 3D(G90XF)」を発表した。視線追跡と独自のレンチキュラーレンズを組み合わせ、高精細かつ自然な立体映像を再現するのが特徴。

本機は165Hzの高リフレッシュレートや1ms応答、4K解像度、AMD FreeSync PremiumとNVIDIA G-Sync対応など、描画性能にも抜かりがない。3月28日発売予定の『The First Berserker: Khazan』が初の対応タイトルとなる。

裸眼3Dと視線追跡の融合が生む新たな没入体験

Samsungが発表したOdyssey 3D(G90XF)は、専用メガネを必要とせず立体視を実現する27インチのゲーミングモニターである。視線追跡技術とレンチキュラーレンズ方式を組み合わせることで、ユーザーの目の動きに応じた正確な視差調整が可能となり、自然な3D映像の表示を実現する。この映像処理は「Reality Hub」アプリを通じて制御され、従来の3Dディスプレイとは一線を画す。

現時点で対応するゲームとして明らかにされているのは、3月28日発売予定の『The First Berserker: Khazan』で、Samsungは主要なゲーム開発会社との連携も進めていると明言している。このような技術連携によって、3D体験の幅広い普及に向けた土台作りが進行していると見られる。

立体視において重要なのは視差の違和感をいかに抑えるかという点だが、視線追跡を活用したリアルタイム調整により、従来の3D表示に比べて目の疲れを軽減する効果が期待される。メガネ不要という手軽さと、没入感を両立した設計は、これまでの3D技術に対する評価を覆す可能性を秘めている。

通常映像の3D化とゲーミング性能の両立

Odyssey 3Dはゲーム向けだけでなく、通常の映像コンテンツをリアルタイムで3D化する機能にも対応している。Samsungの説明によれば、コンテンツの各シーンを分析して深度情報を生成し、3D映像として出力することで、一貫した立体効果と目の負担軽減を両立しているという。これにより、映画や動画配信サービスのコンテンツでも立体視の魅力を味わうことが可能になる。

さらに、映像表現だけでなくゲーミングディスプレイとしての基本性能も非常に高い。4K解像度(3840×2160)に加え、165Hzのリフレッシュレートと1ms(GtG)の応答速度を持ち、激しいアクションゲームにも対応可能だ。AMD FreeSync PremiumおよびNVIDIA G-Syncとの互換性も備えており、画面のティアリングやラグのない滑らかな描写が期待できる。

映像体験の革新と、ディスプレイとしての基本的なスペックを同時に成立させている点は評価に値する。ただし、現段階で3D化対象となる映像コンテンツの条件や、深度生成の精度に関する詳細は不明であり、その実用性は今後のレビューによって見極める必要があるだろう。

Neowizとの提携と今後の展開に注目

Samsungは今回の発表において、『Lies of P』で知られるNeowizとの提携も明らかにしている。今夏にはこの作品の初となるDLCのリリースが予定されており、今後の3D技術との連携に関心が集まっている。ただし、現時点でこのDLCがOdyssey 3Dの立体視技術に対応するかについては明言されていない。

一方、Neowizはダークな世界観と高度な演出で知られるタイトルを手がけており、3D技術との相性は高いと考えられる。立体感のある空間演出や視差による没入効果は、プレイ体験の強化に寄与する可能性があるため、DLCが対応すれば話題性は十分だ。

ただ、3D対応は開発側にとって技術的な負荷も大きいため、今後のソフトウェア側の普及動向やユーザーの反応が鍵となる。SamsungとしてはNeowizとの連携を通じて、Odyssey 3Dの3D表示技術が一過性のギミックではなく、今後のゲーム体験に根付く機能であることを示す狙いもあると見られる。

Source:TweakTown