マイクロソフトは、Security Copilotに6種類のAIセキュリティエージェントを新たに導入し、日々84兆件に及ぶ脅威信号と毎秒7,000回のパスワード攻撃といった膨大なセキュリティタスクの自動化を進めると発表した。

今回追加されたエージェントは、フィッシング、脆弱性修復、アイデンティティ保護など主要領域をカバーしており、各エージェントは実運用を通じて精度を高める構造となっている。また、Teamsへの防御強化やOneTrustなど5社との外部連携も同時展開される。

月額2,920ドルで提供されるSecurity Copilotは、サイバー防衛の即応性と省力化を両立させるAI基盤として進化を遂げており、自律的なセキュリティ戦略への移行を示唆する動きとなっている。

自律型エージェントが担う6領域の防御とその構造的意義

マイクロソフトが4月27日からプレビュー提供を開始する6種のAIセキュリティエージェントは、各種脅威への初動対応を機械主導で行うことを目的としている。具体的には、Microsoft Defenderに実装されるフィッシングトリアージエージェントは、1日に300億通に及ぶフィッシングメールへの対応を効率化し、検出精度の向上と誤検知の抑制を両立する。

加えて、脆弱性修復エージェント(Microsoft Intune)や条件付きアクセス最適化エージェント(Microsoft Entra)は、脅威の予兆検知とアクセス制御の動的調整により、被害の未然防止を目指す構成となっている。

これらのエージェント群は、いずれもSecurity Copilotの中核AIと連動し、管理者からの継続的なフィードバックを通じて学習・進化する設計である点が重要である。これは、静的ルールベースの従来型防御とは一線を画し、動的適応型セキュリティモデルへの明確な移行を示している。脅威の性質が変化する現代において、過去の誤検知パターンを起点に自己最適化を図る機構は、迅速な意思決定と即時の封じ込めに貢献すると考えられる。単なる「ツール」ではなく、セキュリティ運用の判断補助者としての地位を確立しつつあることが示唆される。

サードパーティ連携が示すマイクロソフトの戦略的転換点

マイクロソフトは、Security Copilotの強化にあたり、OneTrust、Aviatrix、BlueVoyant、Tanium、Fletchといった外部のサイバーセキュリティ企業と提携し、5種のサードパーティ製AIエージェントを自社エコシステムへ統合している。これらの連携は、各社が持つ専門領域—たとえば、Aviatrixによるネットワーク障害の根本原因分析や、OneTrustによるコンプライアンス対応支援—をSecurity Copilot上に融合することで、単独のAI製品には実現し得ない広範な防御力を獲得するものといえる。

注目すべきは、マイクロソフトがこの連携を単なるAPI統合ではなく、自社AIと外部エージェントの協働によるシームレスな防衛体制として位置づけている点である。これは、マイクロソフトがAIによるセキュリティインフラの標準化を志向する中で、他社の専門性を積極的に取り込む柔軟性を示すものでもある。従来の自社完結型アプローチから一歩踏み出し、オープンな協調戦略へと舵を切ったことで、今後のSecurity Copilotは業界横断的な防御ハブとしての機能を強めていくことが見込まれる。セキュリティをサービスとみなす発想の進展が、ここに表れている。

Source: WinBuzzer