米ホワイトハウスが4月2日に発表予定の報復関税から半導体産業を除外する可能性が高まったとの報道を受け、AMDやNvidiaをはじめとする半導体関連株が大幅に上昇した。
AMDは取引中に約8%上昇し、S&P 500構成銘柄の中でも際立つ値動きを記録。Nvidiaは4%、NXP Semiconductorsは5%の上昇となり、PHLX半導体セクター指数(SOX)も3%超の上昇を見せた。
年初以降、関税適用への懸念やAIインフラ投資の不透明感が重しとなっていたが、大手テック企業の積極的な支出計画とあわせ、市場には明るい兆しも戻りつつある。
半導体関連株に広がる上昇連鎖と市場の即応性

4月2日に発動予定とされた報復関税の中で、半導体分野が除外される可能性が高まったという『ウォール・ストリート・ジャーナル』の報道が、マーケットに即座に反映された。Advanced Micro Devices(AMD)は一時8%の急騰を記録し、S&P 500内で最も大きな伸びを示した銘柄の一つとなった。Nvidiaは約4%、NXP Semiconductorsも5%といずれも大きく買われ、Micron TechnologyやQualcommなど他の主要銘柄にも買いが波及した。
PHLX半導体セクター指数(SOX)は3%超の上昇を見せ、2025年序盤に5%下落していた流れを一部巻き戻す形となった。ここ数週間は、トランプ前政権が示唆していた25%以上の関税適用への警戒が高まり、半導体株全体が軟調に推移していた。報道ひとつでセクター全体が揺れ動いた今回の反応は、テクノロジー株がいかに政策リスクに敏感かを浮き彫りにする。
関税政策が依然として明確な方向性を欠く中、市場は情報の断片に即座に反応する性質を強めている。短期的な材料への過敏さは、投資判断を困難にする要因ともなり得る。
米テック大手の投資計画と半導体業界への波及効果
関税不安が一時的に後退した一方で、AIインフラ投資への懸念は依然として市場心理に影を落としている。特に中国のAIスタートアップ「DeepSeek」による低価格モデルの登場が、価格競争の激化と投資対効果の不透明化を招き、業界全体の慎重姿勢を誘発していた。
しかし、こうした中でAmazonが2025年に1,000億ドル超の資本支出を行うと発表し、Alphabet、Microsoft、Meta Platformsも相次いで大規模な支出計画を明らかにしていることは、半導体業界にとって極めて重要な支えとなる。生成AIやクラウドインフラの需要が引き続き高まる中、こうした企業による持続的な投資は、半導体への需要を長期的に下支えする可能性がある。
目先の市場は政策と競争環境の変動に揺れ動くが、構造的な成長ドライバーは健在であり、過度な悲観論には慎重であるべき局面ともいえる。主要テック企業の投資判断は、AIと半導体の将来性に対する確信の表れとも受け取れる。
Source:Investopedia