米投資家ウォーレン・バフェットが、自身が会長を務めるバークシャー・ハサウェイの従業員に対し、大学バスケットボールの試合予想で100万ドル(約1億5000万円)を授与した。

受賞者は、FlightSafety Internationalに勤務する従業員で、NCAA男子トーナメントの初戦32試合中31試合を的中させた。例年より波乱が少なかったこともあり、今年は他に11名が10万ドルの報奨を受ける異例の結果となった。

史上初の快挙 NCAA予想ゲームで100万ドルの報奨が実現

バークシャー・ハサウェイが主催する従業員向けイベント「ブラケットチャレンジ」で、100万ドルの賞金がついに支払われた。対象となったのは、FlightSafety Internationalに勤務する従業員で、NCAA男子バスケットボール選手権の第1週に行われた32試合中、31試合を的中させた。これは確率的に極めて稀な事例であり、同社の歴史においても前例のない快挙である。

主催者であるウォーレン・バフェットは、完璧な予想の実現が非現実的であることを踏まえ、今年は条件を緩和し「32試合中30試合的中」で100万ドル授与のルールを設けた。これにより初めて賞金の支払いに至ったという背景がある。さらに、他にも31試合的中を達成した11人が、それぞれ10万ドルを受け取る結果となった。彼らの的中精度が高かった一因として、今年の「マーチ・マッドネス」において下位シード校による波乱が少なかったという点が挙げられる。

報酬の額は桁違いだが、全従業員数約39万5000人のうち参加者は約7万人に過ぎず、そのうち正確に予想を重ねられる者はごく一部である。この構造は、娯楽とインセンティブを巧妙に融合させ、従業員のエンゲージメントを高める仕掛けともいえる。労働の成果ではなく、知識と運によって報われる制度は、一見風変わりながらも参加者の意欲を刺激し、組織の一体感を醸成する効果を持つと考えられる。

バフェット流の組織戦略と人材モチベーションの設計思想

ウォール・ストリート・ジャーナルへのコメントでバフェットは「会長として在任中に誰かに100万ドルを渡したい」と述べている。この発言から読み取れるのは、単なる遊び心ではなく、自身の哲学を組織文化として根付かせようとする意志である。投資の神と称されるバフェットが、業績報酬ではなくスポーツ知識と偶然性に基づく賞金制度を導入した背景には、社員間の結束を促進し、日常業務とは異なる文脈で共通体験を創出する狙いがある。

注目すべきは、約7万人の従業員が自主的に参加するこのイベントが、従業員のエンゲージメント向上や企業ロイヤルティの醸成に寄与している点だ。完璧な予想が極めて難しいと理解されているにも関わらず、毎年多くの社員が参加する背景には、報酬以上の意味づけがなされているといえる。すなわち、バフェットは「勝者を出すことで希望を見せる」というメッセージを企業内部に投げかけているのである。

また、ルール変更という柔軟な設計は、単に的中率に合わせた調整ではなく、従業員との心理的な距離を縮めるマネジメント手法とも解釈できる。合理性と遊び心を併せ持つこのアプローチは、旧来型の人事制度とは一線を画し、「組織に属することの面白さ」を内側から構築するものである。今後、類似の手法が他企業に模倣される可能性も否定できない。

Source:Benzinga