Googleが2025年3月に配信したWear OS 5.1アップデート後、Pixel Watchシリーズで通知の大幅な遅延やアプリのクラッシュといった深刻な不具合が報告されている。

特にPixel Watch 3ユーザーを中心に、動作の鈍化やFitbitアプリとの同期エラーなど複数の問題がReddit上で指摘されており、一部では初期化や再起動を試みても根本的な解決には至っていない。

原因は内部的な変更が多かった今回のアップデートにあると見られるが、Googleからの正式な見解は出ておらず、次回のアップデート予定は2025年6月とされている。

通知遅延とアプリクラッシュが多発 Wear OS 5.1で明らかになったPixel Watchの不安定さ

2025年3月に配信されたWear OS 5.1アップデート後、Pixel Watchシリーズで通知が遅れる、あるいは全く届かないといったトラブルが多数報告されている。特にPixel Watch 2および3でこの傾向が顕著で、通知機能に大きく依存しているユーザーにとっては日常利用に支障をきたすレベルだ。さらに、ウォッチフェイスのカスタマイズ時にアプリがクラッシュし、「色」や「コンプリケーション」の変更ができないケースも確認されており、UI面でも不安定さが浮き彫りになっている。

こうした問題に対し、一部ユーザーは端末の再起動や工場出荷時のリセットを試みているが、根本的な改善にはつながっていないという声が多い。特にRedditでは、初期化しても不具合が再発するという報告が複数上がっており、ソフトウェア側の構造的な問題が疑われる。Googleからは本件に対する公式声明が出ておらず、現時点ではユーザーが取れる対処法は極めて限られている状況だ。

このアップデートでは歩数計測の精度向上や「脈拍喪失検知」といった機能強化も含まれていたが、それらを上回る不具合の深刻さが注目を集めている。新機能の進化が快適な体験に直結しない場合、利便性よりも不満が先行するという点は、今後のウェアラブル設計における教訓となるはずだ。

内部構造の変更がトリガーか 不具合の背景にある可能性とアップデートの難しさ

今回のWear OS 5.1アップデートでは、Android 15をベースとした新たな内部構造への移行が行われた。この変更により、Pixel Watchシリーズにとっては複数のシステム的な改修が加わったと見られ、従来通りの動作保証が難しくなった可能性がある。特に通知処理やアプリ連携といった時間的制約が厳しい機能において、タイミングやシステム資源の割り当てに問題が生じたとすれば、通知遅延などの現象と整合性がある。

問題の根本にOS側の構造変更が関わっている場合、再起動や初期化といった一般的な対処では解決できないのも納得がいく。また、Fitbitアプリとの同期エラーについても、データベースやセンサーAPIの呼び出しに関連する設計上の問題であれば、修正には時間と検証が必要となる。Googleが次のアップデートを2025年6月に予定していることからも、今回のバグが一時的な調整ミスではなく、より根深い技術的な課題である可能性があると考えられる。

一方で、Wear OSはスマートフォンのAndroidと比較してユーザー数が限られており、不具合に対する声が表面化しにくい面もある。今回のようにRedditなどコミュニティでの報告が積み上がることで、初めて問題が可視化された形だ。報告の蓄積が早期の修正対応につながるかどうかは未知数だが、今後のアップデートを評価するうえで重要な要素になることは間違いない。

改善までの道のりは長いか 次期アップデートへの期待と不安

現時点でGoogleからは今回の不具合に関する公式な声明や修正パッチの予定は示されていない。唯一言及されているのは、次回のWear OSアップデートが2025年6月に予定されているという点だけであり、それまでの3ヶ月間、ユーザーは不便な状況に耐えることを強いられる可能性がある。通知の遅延はスマートウォッチの根幹ともいえる機能であり、その信頼性が損なわれることは製品そのものの価値を下げるに等しい。

また、次回のアップデートでどの程度の不具合が解消されるかも不透明だ。新機能の追加に重点が置かれると、既存の問題対応が後回しになる可能性も考えられる。こうした中、ユーザーからのフィードバックやSNS上の声が大きな役割を果たす場面が今後増えていくかもしれない。現に今回の問題も、Googleがまだ認識していない段階からコミュニティベースで情報が共有されていた。

製品の完成度が高まりつつある今こそ、細かな不具合への対応が重要となる局面だ。ハードウェアが進化しても、それを支えるソフトウェアが不安定であれば、全体としての体験は損なわれる。次回アップデートへの期待と同時に、迅速なバグ修正への動きが求められている。

Source:Android Police