米著名投資家ウォーレン・バフェットが保有する3銘柄が、景気後退や金融政策の不透明感に備える「安全資産」として再注目されている。その筆頭は、彼自身が率いるバークシャー・ハサウェイであり、巨額の現金準備と分散された上場株投資で高い防御力を誇る。

続いて、石油最大手の一角オキシデンタル・ペトロリアムは、国内生産の伸長と炭素回収技術でエネルギー自立に貢献し、株主からも厚い信任を得ている。さらに、長年の配当と世界的ブランド力を背景にコカ・コーラも堅実な資産形成に寄与する。

不確実性が増す中、これら3銘柄は長期保有を前提とした戦略において、依然として有力な選択肢となり得る。

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バークシャー・ハサウェイに見る“アメリカ経済”への長期賭け

ウォーレン・バフェットが自ら率いるバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK-B)は、単なる投資会社ではない。その実態は、GEICO(保険)、BNSF(鉄道)、Berkshire Hathaway Energy(エネルギー)など多様な完全子会社を傘下に収める巨大コングロマリットであり、上場株と非上場資産のハイブリッドモデルを確立している。加えて、3,340億ドル超という現金準備が、市場の混乱時に機動的な買収を可能にする強力な競争優位を形成している。

この構造の背後にあるのは「アメリカの成長力を信じる」というバフェットの一貫した哲学である。長期保有を前提としたこの戦略は、時に市場トレンドを無視する形となるが、結果として企業価値の積み上げとリスク分散の両立を実現している。上場株ではアップル、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなどに集中投資しており、ブランド力と価格決定力を持つ企業に焦点を絞っているのも特徴だ。

市場環境が不安定な現在、このような堅牢な資産構成とキャッシュポジションを備えるバークシャーの戦略は、短期的な収益よりも資本の保全と長期的な成長を重視する投資家にとって、極めて示唆に富むものである。

オキシデンタルの台頭とバフェットの戦略的眼差し

オキシデンタル・ペトロリアム(NYSE:OXY)は、バークシャーの公開株ポートフォリオの中で第6位の規模を占めるエネルギー企業である。2024年には米国内で過去最高の石油生産量を記録し、CrownRock社の買収によりテキサス州ミッドランド盆地での影響力を一段と強化した。また、財務面でも45億ドルの負債を計画より早期に返済し、健全性を高めている。

注目すべきは、バフェットが同社CEOビッキー・ホラブの炭素回収技術に対する見識を高く評価している点である。エネルギー政策が再生可能エネルギーへの移行を模索する中、オキシデンタルは炭素回収を軸とした移行期の橋渡し役として重要な位置を占めつつある。さらに、同社が保有する豊富な米国油田は、地政学的リスクに左右されにくい安定供給源でもある。

バフェットはオキシデンタル株の28.2%を保有しており、これは単なる一時的な投資ではなく、長期的視点に立脚した戦略的保有と見られている。エネルギー価格の変動リスクを含みつつも、オキシデンタルは将来的に収益と環境対応の両立を図る存在として位置づけられる可能性がある。

コカ・コーラの揺るぎないブランド力と安定配当への評価

コカ・コーラ(NYSE:KO)は1988年にウォーレン・バフェットが初めて投資して以来、35年以上にわたってバークシャーの保有銘柄であり続けている。炭酸飲料市場の縮小や消費者嗜好の変化という逆風がある中でも、世界的なブランド認知と販売網の強さにより、同社は今も安定した収益を確保している。

2025年の見通しでは、オーガニック売上高5〜6%、為替中立ベースのEPS成長は8〜10%とされており、短期的な為替影響を除けば、堅調なキャッシュフローを背景に高い成長余地が見込まれている。また、配当利回りはおよそ3%に達しており、株価が横ばいとなる局面でも安定収益を確保する手段として機能する。

コカ・コーラのようなディフェンシブ銘柄は、景気後退期においてポートフォリオの安定装置となり得る。価格決定力を持つブランドの強さは、インフレ局面においても売上と利益の確保に直結する。バフェットが数十年にわたり同社株を売却していないという事実自体が、その信頼の深さと長期投資の本質を物語っている。

Source:Finbold24/7 Wall St.