暗号資産市場に転機が訪れた。CoinSharesの最新報告によれば、暗号ファンド全体への資金流入は先週6億4,400万ドルに達し、5週連続の資金流出に終止符を打った。中でもビットコインは7億2,400万ドルという圧倒的な流入を記録し、市場の回復を牽引した。

一方、イーサリアムは8,600万ドルの流出と過去最大のマイナスに転じ、対照的な動きを見せている。アルトコインの中ではSolanaが640万ドルの流入で健闘したが、SuiやPolkadotなどは軒並み流出超過となった。地域別ではアメリカ市場が主導権を握り、全体の流入額のほとんどを占めた。

BTCは価格も堅調に推移し、今週は87,000ドル台を回復。投資家心理が明らかに改善しつつある中、市場の波がどこへ向かうのか注目が集まる。

ビットコインに72億円超の資金流入 投資家心理の反転を示す明確な兆候

CoinSharesの最新データによると、2025年3月中旬の1週間で暗号資産ファンドへの総流入額は6億4,400万ドルに達した。このうちビットコインは7億2,400万ドルを占め、単独で全体を上回る規模の流入を記録している。これは、これまで5週間連続で見られた資金流出(総額54億ドル)に歯止めをかける動きであり、デジタル資産に対する市場参加者の見方に大きな転換が生じたことを裏付ける。

特に注目すべきは、ビットコイン価格が3月10日時点の水準から大きく回復している点である。資産運用額(AUM)は同期間に6.3%上昇し、週を通じて毎日資金流入が続いた。この一連の動きは、単なる価格回復に留まらず、17日間続いていた連日の資金流出という悲観的トレンドに終止符を打ったという意味合いが強い。

また、「ショート・ビットコイン商品」からの流出も続いており、3週連続で総額710万ドルが市場から撤退した。これは、投資家がビットコイン価格の下落に賭けるポジションを解除している動きを示し、市場全体のセンチメントが弱気から中立、あるいは強気へと移行しつつある可能性を浮き彫りにしている。

イーサリアムから8,600万ドル流出 アルト市場の二極化進む

ビットコインが市場を主導する一方で、イーサリアムは異なる道を歩んでいる。今週のファンドフローにおいて、ETH関連商品は8,600万ドルの資金流出を記録し、すべての暗号資産の中で最大のマイナスとなった。これは、直近の市場環境においてイーサリアムが投資家からの関心を急速に失いつつあることを示す。

他のアルトコインにおいても同様の傾向が確認されている。SuiとPolkadotはそれぞれ130万ドル、TronとAlgorandはそれぞれ95万ドルと82万ドルの資金流出を記録した。こうした数値は、主要アルト銘柄における投資家のポジション整理が進んでいることを反映しており、資金の再配分が活発化している可能性がある。

一方、Solanaだけはこの潮流に逆行し、640万ドルの資金流入を集めている。PolygonとChainlinkもそれぞれ40万ドル、20万ドルとわずかではあるがプラスを維持しており、一部のアルト銘柄には局地的な投資家支持が存在することが示唆される。このように、アルト市場は明確に二極化しつつあり、プロダクト開発やネットワーク拡張などの実需を伴わないトークンは、資金流出の圧力を受けやすくなっている。

Source:Bitcoinist