Nothingの最新機種「Phone 3a」に搭載された独自アプリ「Essential Space」が注目を集めている。スクリーンショット、音声メモ、ToDo管理といった日常的な作業を一元管理し、AIで自動的に整理・活用できる点が評価されている。
GoogleやAppleのAI機能が分散しているのに対し、Essential Spaceは「Essential Key」によって操作が統合され、手間なく記録や文字起こしが可能。特に、音声メモの自動ToDo化やスクリーンショットの文脈推定といった実用性が光る。
AI機能の点在を解消する「Essential Space」の統合設計

Nothing Phone 3aに搭載された「Essential Space」は、Google AIやGalaxy AIのように機能が個別に分かれている従来のスマートフォンとは異なり、スクリーンショット、音声メモ、ToDo管理といった要素を一つのアプリで統合的に扱う点が大きな特徴である。ユーザーは「Essential Key」と呼ばれる物理ボタンを活用することで、1回押しでスクリーンショット、長押しで音声録音とAIによる文字起こし、2回押しでアプリ起動と、直感的かつ効率的な操作が可能となっている。
このような操作性の設計は、AI機能が「何のためにあるのか」という目的に立ち返らせる構造とも言える。記録した情報をその場でAIが解析・整理し、Space内で一括管理するという仕組みは、作業ごとにアプリを切り替える必要を減らし、日常の些細な記録をスマートに活用する起点となる。ただ便利に機能を詰め込むのではなく、必要な場面で自然にAIが手を差し伸べてくれるような流れが確立されているのが印象的だ。
日常を可視化するAI活用 音声メモとToDoの連携に注目
Essential Spaceが持つもう一つの強みは、ユーザーが日常的に行っているスクリーンショットや音声メモといった行動に対して、AIが自動的に意味を見出し、タスク化やリマインダー化を試みるという実用的な仕組みである。たとえば、朝の思いつきを音声で残すと、それがToDoリストにまとめられ、チェック式でタスクを管理できるようになる。これは、ただ情報を保存するだけでなく、行動に結びつけるAIの役割を明確に示している。
また、スクリーンショットから日付や位置情報を抽出し、何の目的で撮ったのかを推測してタグ付けするなど、視覚情報に文脈を与える機能も導入されている。画像を探す際に「いつ」「どこで」「何のために」といった観点からすぐに目的のものへアクセスできる利便性は、過去の記録を単なるストックではなく、再利用可能なデータとして扱う新しい視点を提供する。こうした設計は、使い込むほどに「自分に寄り添う」感覚を強めていく構造と言える。
完璧ではないが、今後に期待がかかるAIアプリのかたち
Essential Spaceは高性能な統合型AIアプリである一方で、いくつかの制限も存在する。まず、Nothing Phone 3aはミドルレンジのスマートフォンであるため、AI処理の多くはクラウド上で行われる仕組みになっており、リアルタイム性や端末内処理の利便性では上位機種に一歩譲る点がある。Nothingは処理後にクラウド上のデータを削除していると説明しているが、個人情報の扱いやセキュリティに敏感な層には課題が残るかもしれない。
Source:Engadget